過去ログ - はいわかった、なかったことにしましょう
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1:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 19:37:35.39 ID:R1RClTPU0

環状線をもう一周して帰ろうと思った。

追加料金が発生するけれど、そのくらい払ってやろうと思った。


今日は楽しい一日で、これからもそうであるはずだったのに。

電車に乗り込み、たまたま椅子に座れたまではよかった。

その座席で俺は二年付き合った女から一方的に別れを告げられた。

突然の出来事に呆然とし、立ち上がることも出来なかった。


降りるはずの駅に止まっていた電車は、俺に情状酌量の余地も与えずドアを閉めた。


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2:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 19:38:34.11 ID:R1RClTPU0

一人暮らしの部屋は真っ暗だった。

電気をつける気力もわかず、二度か三度ほど何かにつまずきながら俺はベッドに転がり込んだ。

以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 19:40:30.78 ID:R1RClTPU0

頭はまだ現実を認められないでいる。

ぐるぐると現れては消えゆく思考に、五月蝿いだけのヘッドフォンを外す。

以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 19:41:07.65 ID:R1RClTPU0

付き合う前に戻りたかった。あの頃はまだ彼女の言いたいことがよくわかるようで。

最近の彼女は何を考えているのかよくわからなかった。

以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 19:42:06.44 ID:R1RClTPU0


『はいわかった、なかったことにしましょう』

夢の中で神様にそう言われた。
以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 19:42:53.81 ID:R1RClTPU0

「は?」


携帯を見ると、女からのメールが一通入っていた。
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 19:43:49.64 ID:R1RClTPU0

思わず画面を二度見する。だが文面は変化しない。

馬鹿にされているのかと思った。

以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 19:44:50.39 ID:R1RClTPU0

『なかったことにしましょう――』


「まさか、な」
以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 19:45:35.34 ID:R1RClTPU0

でも、もし。

騙されてるとは思いつつ何かに期待して会話を成立させる自分が不甲斐なかった。

以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 19:46:22.68 ID:R1RClTPU0

《それじゃあ、12時くらいにいつもの場所で!》


きっと、そうに違いない。
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 19:47:16.55 ID:R1RClTPU0

やっぱり騙されているんじゃないか、どこかに隠れて笑っているんじゃないか。

疑心が渦を巻き始め、思考はだんだんと悪い方に向かっていく。

以下略



12:名無しNIPPER[sage]
2015/03/01(日) 19:47:47.73 ID:A0qAc55/O
支援


13:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 20:24:07.73 ID:R1RClTPU0

よく来ていたファミレスで昼食を取る。


「いつも遅刻する男くんが先にいるんだもん、慌てたよ」
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 20:25:31.19 ID:R1RClTPU0

「……もしかして、今日何か予定あった?」


食事も終わり軽い談笑をしているとき、彼女は不安そうに聞いた。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 20:26:15.94 ID:R1RClTPU0

「……これ、昨日の夜のメールか?」


>今日は楽しかったね、いつも誘ってくれてありがとう!
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 20:27:02.92 ID:R1RClTPU0

「マジ、かよ」

「どうしたの? もしかしてほんとに急用できちゃったとか?」

以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 20:28:05.87 ID:R1RClTPU0

「いや、ただの確認だよ」

ごまかすようにそう言って笑った。彼女も優しく微笑んだ。

以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 20:28:44.57 ID:R1RClTPU0

ファミレスを出て映画館に向かう。

いつもの癖で彼女の手を取ったときだった。

以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 20:29:27.63 ID:R1RClTPU0

「いや、いきなりでびっくりしただけ……ごめん」

「……いや、こっちこそごめん。手、繋いでいいか?」

以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 20:30:43.41 ID:R1RClTPU0

俺はその一言で混乱したんだろう。

何が起きているのかを考えもせず、ついに彼女に直球の質問を投げた。

以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/03/01(日) 20:32:07.34 ID:R1RClTPU0

俺は。俺と彼女は付き合っていない。

それがこの世界の事実だということだろうか。

以下略



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