過去ログ - 佐久間まゆ「ご結婚おめでとうございます、プロデューサーさん」
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7: ◆Freege5emM[saga]
2015/03/01(日) 23:15:01.61 ID:OA5hrQ14o

●05

『こうしてまゆさんとお茶するの、久しぶりですね。もうすっかり忙しくなってしまって』
『確かにご無沙汰です。前に、このお店連れてきてもらってから結構経ってますよね』

とにかくまゆさんに会おう、とだけ考えて携帯電話に指を滑らせた私は、
連絡がついてやっと『さぁ、どんな名目で会おう』という問題に考えが至り、

『それで最近、少しさびしくなりましてね。ご迷惑でなければ、いいのですが』

とっさに私は、こんな唐突で無理のある理由をつけて、まゆさんと会う約束を取り付けました。



『泰葉さん、寂しがり屋さんですか? あらら、可愛いって思っちゃいましたぁ♪』

前にここでお茶を飲んだとき、まゆさんは『ただ見られるだけの子』の色が残っていましたが、
今のまゆさんはアイドルとしての顔に慣れてきたようです。
この場に限れば、むしろ私のほうが挙動不審かもしれません。

『それもあるんですけど、あとは……ホラ、まゆさんのところ、プロデューサー交代するでしょう。
 後任の武内さんでしたっけ? あの方は私のプロデューサーの後輩らしいんです。
 それで、それとなく様子を見てこいとか言われてしまいまして』

プロデューサーの交代に話を向けても、
まゆさんの顔はしっかりとアイドルを演じていました。



それどころか、まゆさんは、

『うふふ、泰葉さんは寂しがり屋さんなだけでなく、照れ屋さんでもあるんですねぇ』

私の取り繕った口上を、あっさりと引き剥がします。

『まゆの勘違いであったら、笑って流して欲しいのですが……泰葉さんは、
 まゆがプロデューサーさんと離れ離れになって落ち込んでないか、心配してくださったんですよね?』

自分の筒抜けっぷりがおかしくて、私は頬を緩ませてしまいます。
他人の口から言われると、私の振る舞いは本当にお節介だと実感します。

『そちらも気になってはいますが、そちらに関して私ができることなんて、
 まゆさんが何か話したいと思った時にお茶飲みながらそれを聞くことだけです。
 この間みたいに先輩風を吹かせた説教垂らしたら、それこそ迷惑でしょう』

でも、今回はあの時の歯痒さがありません。
今、私がまゆさんにできることなど大したことではありません――私にはその自覚がありました。
同じ夢を見たプロデューサーと離れ離れになる経験など、私にはないのです。


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