1:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 00:49:44.78 ID:j6K9ZfLpO
両手を失い、そして今左足首を斬り飛ばされ、地面に転がったオークはそう悔しそうに鳴いた。 
  
 人語を話すとはめずらしいが、コイツならばおかしくはない。 
  
 赤い肌と、大柄な身体、そしてそこそこに洗練された技量。 
  
 奴らの中では名のある戦士なのだろう。鋭い太刀筋にはなかなかヒヤヒヤさせられた。 
  
 せめてもの手向けと声をかける。 
  
 「名は?」 
  
 フゴフゴと鼻を鳴らすような音がした。 
  
 そうして目を閉じた奴の首に剣をふるう。 
  
 オーク語を解さぬ私にそれが奴の名なのかどうかは知るよしもない。
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2:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 00:51:49.39 ID:j6K9ZfLpO
 首を失った胴体が痙攣して果てる。 
  
 妙に潔い、そして強いオークだった。変異種だろうか?’ 
  
 いや。やつらからみれば、女だてらに剣を振るっている私こそ変異種なのかもしれない。 
3:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 00:52:25.09 ID:j6K9ZfLpO
 オーク共の死体を積み上げ、焚き木を積んで火をかける。 
  
 面倒だが、死体をそのままにしておいては疫病が発生するのだ。 
  
 点火してしばらくすると火柱が立った。奴らは脂肪がたっぷりあるだけよく燃える。 
4:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 00:53:07.94 ID:j6K9ZfLpO
 オークは突然発生した。 
  
 野生の豚が変異を起こしただとか、魔術師の実験のせいだ、邪神が復活した、などと噂は立つものの実態はわかっていない。 
  
 奴らは突然森からあらわれて、辺境の村や街を襲い始めた。 
5:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 00:54:59.21 ID:j6K9ZfLpO
 やつらの脅威はまず、その体格だろう。 
  
 分厚い毛皮と脂肪は下手な刃をとおさず、成人男性より二回りはおおきいその身体から繰り出される打撃は容易に人の命を奪う。 
  
 主にその辺の木を引き抜いて棍棒にしているが、戦利品の剣を振り回しているオークもいる。 
6:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 00:56:11.67 ID:j6K9ZfLpO
 オークは雄しかいない。 
  
 ならばどうやって繁殖するのか? 
  
 知っての通り、忌々しいあの連中は他種族の胎を用いるのだ。 
7:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 00:57:01.92 ID:j6K9ZfLpO
 そして繁殖能力のないもの、老人、男は殺されて奴らの餌。 
  
 奴らは男ども手足をむしり取って手羽先のようにかじり、胴体を2つに折って、鼻をつっこみ内蔵をむさぼる。 
  
 そして血に酔って女を犯す。 
8:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 00:58:05.60 ID:j6K9ZfLpO
 日もすっかり沈んだ頃にようやく今回の宿営地の街についた。 
  
 我々のような騎士隊は街に常駐している騎士団とはちがい、被害の多いところを回るため、ひと処に滞在するということがない。 
  
 この街もせいぜい5日もしないうちに去ることになるのだろう。それでも帰る場所があるというのはありがたい。 
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