過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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6:名無しNIPPER[saga]
2015/03/16(月) 19:09:00.15 ID:L6O7NDCGO



 臨海女子の学舎へと電車で向かう傍ら、咲は車内に立って雑誌を広げる。
 ウィークリー麻雀トゥデイ。数多くの打ち手について情報を教えてくれるが、咲の興味はただ一点、インターハイチャンピオンに関する記事だ。

咲「やっぱり麻雀をやってた……お姉ちゃん……」

 懐かしげに目を細めたそのとき、不意に車体が揺れ、がくんとした衝撃が咲を襲う。

咲「う、わわっ……」

 危うく転びかけ、体勢を大きく崩しながらも何とか立て直す。
 しかし思いの外しぶとい慣性の力にいつの間にか目の前にいた人物に抱きつくような形でその胴に腕を回してしまう。

 肩甲骨に届く長さの髪が、度重なる荒々しい挙動にぱさりと揺れる。

咲「あ、ああうあえあっ」

「ング? オオーウ」

「ニホンの電車にハ可愛い女の子ガ抱きついテくれるサービスまであるんデスね。ワンダホー」

 少女に抱きつかれるのを喜ぶ発言にまさか男性かと顔を青くする咲だったが、声の質と抱きついた腕に伝わる感触が女性的な柔らかさを帯びていた事で安堵した。
 胴に回していた腕を離し、自分より頭一つ分は高い位置にある相手の顔を見やる。
 朝にひと悶着あったネリー同様、彼女もまた日本人離れした外見をしていた。

 ま、また外人さん。
 重なる異国の人間との遭遇に東京が世界で有数の国際都市である事を意識させられる。
 せめてもの救いは、今のところ日本語を話せる人種に限られていた事か。
 お世辞にも英語が堪能といえない咲にとって、ぎょう幸だった。
 そして今目の前にいる彼女は、海外のトップモデルさながらのスレンダーな美人。
 咲が憧れる女性の姿のひとつだ。

「ハフッ、ハフッハフッ」

 電車の車内でカップ麺片手に奮闘していなければ。

咲「あ、あの私が言うのもなんですが……危なくないんですか?」

 ネリーほどのとっつきやすさはないが、それでも圧迫されるような印象でない事も手伝い、咲は比較的物怖じせずに話しかけられた。

「イエス。モーマンタイ。アメリカの人間嘘つきまセン」

 国籍が不安になる発言だったが、どうしてか周りには彼女と自分しかいないし、そう目も当てられない事態にはならない気がした。
 もっといえば、麻雀にも発揮される第六感が咎めたところで無駄と半ば悟ってしまっている。




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