過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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727: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/10/18(日) 00:54:14.95 ID:8RJmuE7To

咲「それでも声をかけてもらわなかったら気づきませんでした」

 すみません、ともう一度謝る。すると明華はむっと可愛らしく顔をしかめた。

明華「できたらありがとうございますのほうが嬉しいですね。一点減点です」

 確かに感謝のほうが気持ちいいだろう。何から点数が差し引かれたか不明だが、納得して言い直す。

咲「そう、ですね……ありがとうございます」

明華「いえいえ」

 笑顔で返される。満足してもらえたのだろうか。言ったあと、何か小さく聞こえたような気がしたが、口が動いていなかったので妙に思い、首をかしげる。

明華「どうかしました?」

咲「いえ」

 雑踏に視線を移す。信号待ちの間、手持ちぶさたなので適当な雑談をして待つ。やがて信号が青色に変わった。

 横断歩道を並んで渡る。その途中、あちら側の歩道、向こう岸に立ち並ぶ店先の中のあるものに目が止まる。

 それはーーファンシーショップにあるぬいぐるみ。カジキマグロを抱えた熊、のように見えるものだった。ショーウィンドウの中、透明な硝子越しに魚を携えた熊が勇ましげな立ち姿を晒している。

 少しの間釘づけになった視線を悟られることはなかった。もし立ち止まっていたときに目をやっていれば明華に気づかれただろう。そのまま横断歩道を渡りきり、コンビニに入った。

「イラッシャイマセー」

 そこそこ込み合う店内が透けて見える自動ドアを潜る。入店を告げるお決まりの音楽を聞きながら、明華と並び店内に足を踏み入れる。

 だが入った瞬間、咲は硬直する。普通のコンビニだ。今まで見てきたそれと代わり映えしない、本来なら驚くに値しない光景。

 しかし、

誠子「いいか大星、私は弘世先輩の代理としてお前が暴走するのを止めなきゃいけない。わかるな?」

淡「はい……亦野先輩……」

咏「アッハハハハハハ、おっもしれー」

 店内に入ってすぐ奥の突き当たり、ぽっかりと空いたスペース。そこにいる、床に正座したり、腰に手を当てて説教したり、腹を抱えて爆笑したりしている人たち。否が応にも目を奪われてしまう。

淡「……ああっ!? サキだ!?」

誠子「な、何!?」

咏「……おや」

 そして、棒立ちになっていた咲は瞬く間に捕捉される。一直線に飛んでくる矢のような視線に射抜かれ、咲はその場に立ち竦んだ。



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