過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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842: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/08(火) 13:56:55.17 ID:36P3Vv2Ko
下ごしらえしておいた材料を調理し、夕食をふるまう。菜の花やタケノコなどの春野菜を使ったツナちらしに、きゅうりとわかめとしらすの酢みそあえ、スナップえんどうのごまソテー、そして麩と春雨の吸い物。「おいしかったよ、ごちそうさま!」手ぬかりなく手抜きなくつくられた食事に舌鼓を打つネリーに「おそまつさまでした」と返事をした咲が洗いものを片づけた後、キッチンと隣り合ったリビングへと戻ってくると、ソファでくつろいでいる様子のネリーが目に入る。

自分の部屋でくつろぐ人の姿をみて、咲のうちには複雑な気持ちが生じていた。むろん自分の部屋でくつろがれていることに気分を害したとかそういうことではない。借りてきた猫のように縮こまられるよりはずっと楽だ。やりやすいし、心持ちとしても軽くなる。

ただ、中学時代を含めて家族以外の同年代の人間を家に上げる、ましてや自分の部屋に招いたことはなかったからだろうか。送り迎えや慣れるまで何かと一緒にいてもらう面倒をかける申し訳なさから断りきれなかったとはいえ、慣れない感覚に手こずっているのと。

姉に勝つという目的を掲げ、邁進しないといけないはずの自分が、こうして安穏とした空間にいることに茫漠とした焦りを感じているだけで。

姉に勝利し強さを証明することは何にも勝る望みだった。それが姉の願いにかなうと思っていた。

姉に勝てば仲をとり持つという母の言葉はあてにしていない。信用していないだとかあきらめてしまっているのとは違う。でも逆に、聞かされた当初からやめてほしいとは思っていた。咲がとれる手を尽くしても母をどうこうできそうにないのでやむを得ず断念するほかなかった。自分にできることをしよう。結果として、自分で解決すれば問題はないのだ。

「あ、サキ?」

自分の中で咲が折り合いをつけていると、ソファに座って足をぶらぶらさせていたネリーが歩いてくる咲の存在に気づき軽く手を上げ、声をかけた。


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