過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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◆JzBFpWM762
[sage]
2016/01/03(日) 21:53:41.25 ID:JBG2pq10o
そのとき。
「うん……?」
虫の羽音のような振動音が、ネリーの脚にぴったりとフィットしたレギンス、そのポケットの辺りからあがる。怪訝そうにしたネリーも声をあげた。
マナーモードの着信。間を空けずポケットから未だ振動する携帯端末を彼女が取り出したことで確信する。
着信か何か来たのだろう。何の変哲もない出来事。何を思うでもなく咲はネリーの挙動を漠然と見守る。
だが。
「ん……」
彼女は携帯端末の液晶パネルに目を落とし心なしか忌々しそうな表情を浮かべた。
▼
ビルの外壁に設置された巨大なスクリーンを見上げる。渋谷駅前。夜が更けてもなお洪水となって押し寄せる人波がスクランブル交差点にあふれている。
「サキ? 急いでるからいくよ」
「あ……うん」
ぼうっとして現実感のない返事をし、そばを歩くネリーと離れた距離を詰める。そして、わずかに先に立って誘導していく彼女を追う。
夜の街は喧騒に満ちていた。きらびやかな光がそこら中に氾濫し夜闇をグラデーションの要素程度にまで成り下がらせている。春の薄闇など、眩い繁華街では飾りものでしかないのではないか。
「手、握ったほうがいい?」
明らかに気後れしていて、ついていくのもやっと。はた目にもそんな風に映る咲を見かねてか、ネリーが気遣わしげに提案する。まるで小さな子供のような扱い。だが、恥ずかしさを思い切って飲み込み、咲は「お願い……」と遠慮がちに手を差しだす。
「素直でよろしい」
やはり小さな子供を褒めるような言葉を「ふふん」と微笑み交じりに言われて、伸ばした手がとられる。咲としてはやや情けない気持ちになったが、ここで強がっても滑稽だしはぐれて迷惑をかけかねないなと思ったので、文句などは口にしない。
恥ずかしい、という気持ちはたしかにあるが、さすがにこの程度なら忸怩たる、とまではならない。
むしろ――目の前の彼女と、手をつなぐ口実ができてよかったかも。
手を繋いでも隣に並ばないであくまで案内するように後ろ手に咲をひっぱるネリーの背中を眺めながら考える。
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