過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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975: ◆JzBFpWM762[saga]
2016/01/13(水) 19:27:14.32 ID:KgtP/2z6O
「あなたのせいですよ……元気がないのは」

「おっ、倒置法。いいね調子出てきた?」

「どういう基準で判断してるんですか」

場違いに明るい笑みを浮かべてへらへらして、大して面白くもないジョークを飛ばしてくる中年男を半眼で見据える。

あなたは同質効果というものを知っていますか? 気が滅入っている人には、同じように沈痛を装って接したほうが好感を抱かれやすいらしいですよ。いわゆる空気を読むというやつです。ぜひ活用してください。今すぐにでも。

「いや〜参ったね。トイレに隠れてたら誰か入ってくるとは予想してたけど、こんな事になっちゃうなんてねえー」

「不正解。減点です」

中年男に対する好感度がさらに下がる。この期に及んで軽薄な調子で自分語りを始めるとは……「え、何が? 何の点数?」と間抜け面をさらす空気の読めなさ加減もいただけません。中学時代、一目見た方の印象的な台詞を拝借するなら、すばらじゃない。

「いい加減、出ていったらどうなんですか」

「え、何が?」

またこれです。私はこんな口調ではないのにまるで先生になった気分です。ちょっぴり冷たい先生のイメージ。

でも……こんな素っ気ない対応も詮無いことだと思うのです。相手は女子トイレに忍び込んでいた変質者なんですから、むしろ丁寧に扱っているほうじゃないでしょうか。

咲は、先ほど見知らぬ男に拘束されるという危機的な状況に陥り、ほどなくして解放されて恐慌状態からは一旦抜け出してからも、やや情緒が不安定気味だった。

それは年頃の少女としては無理からぬことで。日本のような治安など生活の水準の面で様々に恵まれた国の、一般的な中流家庭の娘同然に育ってきた咲にとって、本人のナイーブな気質を差し引いても到底笑って済ませられるような体験じゃなかったのだ。

なので、今彼女はかなりおかしい。宮永咲という人物を少しなりと知る人が見れば「誰コイツ?」となるようならしからぬ心情を垂れ流しているわけである。


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