12: ◆2YxvakPABs[sage saga]
2015/03/26(木) 00:57:20.89 ID:avES/eip0
勢い良く啖呵を切ったものの、一向に仕掛けてくる気配のない3人に、敵もとうとうブチ切れた。
むしろ、よく待ってくれたものだ。
叫び声にビクリとした3人は、速やかに解散する。
「今から変身しまーす! 変身中の攻撃はNGだぞ! キャハっ!」
今にも頭の血管から血が吹き出そうな敵を目の前に、菜々はごまかすように笑った。もちろん、顔の横のブイサインも忘れない。
内心はヒヤヒヤしているが、それを表に出さないのは、流石アイドルと言ったところだろうか。
気を取り直して、と菜々をセンターに3人は並んだ。
「ちょっ! なんでカワイイボクがセンターじゃないんですか!」
「早くしましょうよ!!!!!」
自分がセンターでないことに若干不満そうな幸子だったが、敵の噴火寸前の顔を見て大人しく菜々のいうことに従った。
横にいる杏は、やはりというか、いかにもやる気のなさそうな顔をしている。
というか、ホントに律儀に待つ敵である。
「行きますよ……プリキュア! メルヘンチェーンジっ! ……ゴホッ!」
菜々は、シンデレラ香炉から魔法の灰を取り出すと、自分の頭上目掛けて思いっきり投げた。顔の横にブイサインで決めポーズまで取ったのに、灰が原因で咳き込んでしまったので台無しだ。
「見ていてくださいプロデューサー……ボクの、最初のカワイイの変身を! 変身っ! ……ふぇ……へ……ヘックチュン!!」
幸子は、取り出した魔法の灰を、自分の体へとゆっくりふりかけた。もちろん、プロデューサーにアピールするように。
最後にプロデューサーに向けた決め顔は、残念ながらくしゃみを我慢する表情という、どこか残念な感じになってしまった。
「…………ジュワッ! ……ゲホッ! ゲホッ! ぶぇぇ!! 口に入った!!」
杏は、香炉を右手でまっすぐ持ち上げ、そのままひっくり返して頭からどっさり被った。残念ながら、光の巨人のようにうまくは行かなかった。
アイテムがアイテムだから仕方がない。
「あの……皆さん、もっと統一性を……」
ネズミの姿をしたプロデューサーがおろおろとしていると、灰を被った彼女たちの体が光へと包まれる。
誰一人、プロデューサーの言葉など聞かないまま、変身が始まってしまった。
魔法の灰を被った彼女たちは、光る布一枚に体を包まれる。なんというか、風呂上がりのようにも見える。
そんな彼女たちは、次々と衣装が変わっていった。
もともと着ていた服はどこへやら。
キラキラと光が形を作り、服や靴に変わる。ヒラヒラとした布が、彼女たちの体を包む。
その変身途中、菜々の肩に一瞬だが注目が生まれた。
(……湿布、ですね)
(菜々さん……湿布が……)
(介の字貼り……)
だが誰も触れなかった。よほど疲労が溜まっているのだろうと、誰もが見て見ぬふりをした。
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