2: ◆2YxvakPABs[sage saga]
2015/03/26(木) 00:45:45.49 ID:avES/eip0
「プリキュアに……興味はありませんか?」
「……は?」
プロデューサーの事務室で、安部菜々は素っ頓狂な声を上げた。
普段彼女は、ウサミン星からやってきたウサミン星人としてアイドル活動にいそしんでいる。
そんな彼女が、演じているキャラの事などすっかり頭から抜け落ちてしまうくらいには、プロデューサーの言っている意味が理解出来なかった。
数秒間は固まっていただろう菜々は、ようやくその口を開く。
「プリキュア……ですか?」
「はい、プリキュアです」
「……あ、もしかして、声優のお仕事ですか!!?」
困惑の表情から一変。菜々の顔はパァっと明るくなる。
プリキュアといえば、様々な理由でピンチになった妖精が少女のもとにやってきて、伝説の戦士へと変身させるという、最近流行りの戦って踊れる女の子だ。
菜々は、プリキュアについてはよく知らなかった。
たが、プロデューサーからそんな話を持ち掛けられたとなれば、それはまさに念願の声優のお仕事なのではないだろうか、と嬉しい想像が膨らんでいく。
「いえ、声優の話ではないです」
「え」
プロデューサーの低い声で否定され、またしても菜々の表情は一変して困惑の表情へとなる。
「じゃあ、なんの話なんですか?」
「ですから、プリキュアです」
「……はぁ」
やはり分からないと菜々は首を傾げる。このプロデューサーは、どうにも口数が少なく情報に欠けるところがあった。
プロデューサー自身もどう言ったものかと考えるように手を首の後ろにまわした。
「その、菜々さんにプリキュアになっていただきたいのです」
「なる? やるとか演じるとかじゃなくてですか?」
「はい」
「……すいません、もうちょーっとだけ分かりやすく言って貰えませんか?」
やはりプロデューサーの言っている意味が分からない。菜々は困り果てながらも彼に噛み砕いて話すように要求した。
菜々的に可愛くお願いしたつもりだ。
数秒の間。
プロデューサーは観念したように、仕方がありません……と呟くと、菜々の目を見た。
まっすぐ見つめられ、ドキッとする菜々。
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