過去ログ - 佐々木「一つ、お願いがあるんだ」
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87:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 23:45:49.17 ID:jVBRPo/YO

その時俺は、文芸部室の様子がおかしくなっていることに気がついた。

さっきまでと違う物理法則を無視したようなセピア色の光が世界を照らしている。

「気づいたかい? ここは例の閉鎖空間の上位互換に当たるものみたいだ。

 耐え切れない現実に直面した僕が、たった今、願望実現能力によって創り始めた新世界の原型さ」

今、創り始めた?

「面白いね、ここに逃避したらメントールを塗ったみたいに心がスッと楽になった」

息をゆっくりと吐くと、佐々木は陰と陽の区別すらつかぬ全く感情の読み取れない表情を作る。

「推測通り、こちらの世界では僕はやりたい放題だったらしい。

 本来ならこの学校に来ることさえ許されていなかったというのに。

 危惧していたように、何もかもが夢のようなものであったということだ。

 そうであるとわかった以上、この世界で僕の願いが真に叶うことは最早有り得ない。

 どうやら僕の物語は悲しい結末を迎えるしかないようだ。

 どこで選択を間違えてしまったんだろうね。こんなことを望んでいた訳じゃないのに」




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