過去ログ - 櫻子「めぐみの雨と、恋で咲く花」
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11:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 17:31:24.99 ID:JxUSEnW0o
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桜の木は、青々と茂っていた。
今日は風がまるで吹かない日だった。空にはほんの少しの雲と、もう夏本番と大差ないほどの元気な太陽が鎮座している。歩くたび、しっとり汗ばむ肌に服が張り付く。
「…………」
桜の木陰に入って、遠くを見つめる。
なぜここに来たのか。なぜ今日も、この桜の木の下に来ているのか。
それは、あの日の答えを探すためだった。
撫子は、大学の所在地と下宿先の住所は教えてくれていた。だからどこで何をしているのか、わからないわけではなかった。
しかし、今までのような電話やメールのやりとりはできなくなってしまった。そこがわからなかった。
付き合っている彼女同士じゃなくても、友達同士に戻ればいい。お互いの距離が離れたとしても、距離が離れただけの友達同士に戻ればいいのに。
なぜ、関係を切ったのか。
なぜあの日、二人の秘密を壊すようなキスを、ここでしたのか。
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