過去ログ - 櫻子「めぐみの雨と、恋で咲く花」
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17:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 17:35:48.26 ID:JxUSEnW0o
「な、泣いてるの……!? 何かあったの?」
「ん、いや……違くて……!」
私の手を握って、詰め寄ってくる櫻子。
その目をはっきりと見てしまった。
私が一番見たかった、あの人の目。毎日のように夢で思い描く、あの人の目。
キスで別れたあの時、私に向けた真剣なまなざし。
櫻子の目は、撫子とまったく一緒であった。
「う……んん、ぅぅう………」
「えっ、えっ?」
「撫子……なでしこぉ……っ!!」
撫子じゃないことはわかっていても、ずっと見たかったものと同じものが目の前に現れてしまい、私は感情を抑えることができなかった。
撫子よりも背の低い彼女を抱きしめ、けれど首元からは撫子と同じ香りがして、ずっと閉じ込めていた寂しい気持ちが一気に溢れ、大声を上げて泣いてしまった。
会いたかった。ずっと会いたかった。そんな想いをなすりつけるように、子どものように泣きながら櫻子の胸に涙をしみこませた。
何もわからないであろうに、その小さな撫子は黙って背中をさすり、私を受け止めてくれた。
そんな慰め方も、姉とまったく同じであった。
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