134: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:26:34.25 ID:8uChUkcw0
立ち上がったときに少しだけふらついた。頭が痛かったのと、肉体が筋肉痛のような痛みでいっぱいになっていた。
京太郎が立ち上がると少しだけ間をおいて、ディーが声をかけた。
「いい動きだったよ。反応する早さも、肉体の操作もよかった。特に肉体の操作に関しては天性のものがあるね。鍛えれば一級品になる」
135: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:30:25.25 ID:8uChUkcw0
スポーツカーが走り出すと、京太郎のまぶたが落ち始めた。あと少しで眠り始めるだろう、うつらうつらしている。
圧倒的過ぎる魔力とマグネタイトを持つ怪しい女性との立会いが、京太郎の体力と精神力を大幅に削ってしまったのだ。
そして刹那の単位で動く女性を視界に納めるために集中力を使いすぎた結果、いよいよ京太郎は眠りに落ちる寸前まで追い込まれたのである。
136:名無しNIPPER[sage]
2015/04/21(火) 02:31:17.91 ID:CtKc+F1DO
おお、ついに続編きたのか
137:名無しNIPPER[sage]
2015/04/21(火) 02:32:10.80 ID:zKsN5O/vo
力作だな
嬉しい
138: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:34:58.99 ID:8uChUkcw0
ノイズが収まると別の場面に移った。京太郎がいたのは、まっさらな空間だった。空には何もなく、地面にも何もない。真っ白な空間がずっと続いているだけの世界である。しかしこの真っ白な空間には京太郎以外の何者かが居を構えている。
真っ白い空間の夢を見始めると、夢を見ている京太郎の体がわずかに揺れた。スポーツカーの助手席で眠っている現実の肉体が動いたのだ。
それは何か驚くようなものを見たときの反応とよく似ている。スポーツカーを運転していたディーも不思議な空間から顔を出して外の景色を見ていた虎城も、京太郎を見て少し驚いていた。
139: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:39:20.68 ID:8uChUkcw0
夢を見ていた京太郎の肩にディーが触れた。左手で、京太郎の右肩に触れたのだ。少し強めに触れているので、京太郎の体が揺れた。
京太郎を目覚めさせようとしているのだ。このまま京太郎を休ませてやりたいが、できなくなったのだ。残念なことに松常久とその子分たちが許してくれそうになかった。
オロチの石碑の案内は正しかった。案内に従い道を進んだスポーツカーは見事に蒸気機関が空を曇らせているもとの世界まで戻ってきた。虎城とディーは非常に喜んだ。ここまで戻れば、後は龍門渕へ戻るだけだからだ。
140: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:42:27.25 ID:8uChUkcw0
地平を埋め尽くさんとする悪魔の群れをみた京太郎がこういった。
「よくマグネタイトが持ちますね、あんなに。すげぇ、空がみえねぇ」
感心しているように見える態度だった。しかし、すごいと思っているのではない。京太郎の表情と口ぶりは、松常久を馬鹿にしている。
141: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:47:27.93 ID:8uChUkcw0
しかし空を埋め尽くし地面を占拠するほどの大群を前にして笑えるのは京太郎とディーくらいのもので、虎城は完全に血の気が引いていた。
当たり前の話だが、数が多いというだけで武力は大きくなる。そして虎城の眼から見て空と地面を占拠する悪魔たちは虎城の武力では倒せない悪魔ばかりだ。
彼女がたった一人で立ち向かうようなことをすれば、あっという間につかまって、終わるだろう。
142: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:50:39.29 ID:8uChUkcw0
しかし虎城の不安はなくならなかった。
「怖い」
とスポーツカーの不思議な空間で震えていた。
143: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:53:30.57 ID:8uChUkcw0
京太郎が引き金を引きはじめて十秒ほど後のこと、追いかけてきていた装甲車が一台二台と動かなくなった。動けなくなった装甲車たちはそれぞれ普通の状態ではなかった。
タイヤが失われているものもいれば、車体の中心部分が削れれているものもあった。間違いなく京太郎の射撃の仕業である。
しかしおかしなことがあった。それは装甲車についている傷跡だ。デリンジャーでつけられるような傷跡でなかった。
144: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:56:56.96 ID:8uChUkcw0
なぜだか、楽しそうに笑っている京太郎とディーを無視して虎城は京太郎の右手に回復魔法をかけた。そしてこういった。
「須賀くんってさ、ヤタガラスに向いていると思うよ」
虎城は少しだけ元気を取り戻していた。少なくとも命の危険というのは感じていないようである。しかし、神妙な面持ちに変わっていた。
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