194: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/28(火) 03:37:53.51 ID:Z22ZBlJ80
そんなときだ。背後から追いかけてくる装甲車たちに追いつかれた。ついに、そのときが来たのだ。
助手席の京太郎は装甲車を認めると、すぐにデリンジャーを構えた。集中力が高まると、京太郎の目が赤く輝き始めた。そして集中力が高まると同じくして京太郎の目から血涙が流れ出してきたのだった。
195: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/28(火) 03:41:37.33 ID:Z22ZBlJ80
オロチの腹の中。道はもうない。ここが終点だ。
装甲車の中から松 常久が姿を現した。松常久は汗でびしょびしょになっていた。また、ゆがんだ笑顔浮かべている。よほどつらいことでもあったのだろう、初老の男性という風貌だったのだが、今はもう老人に見えた。
松常久の視線はスポーツカーの中にいる虎城に向かっていた。現在の異常な状況、かなり広い範囲が徐々に奈落に沈んでいるのにまったくそのことに気を回していなかった。
196: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/28(火) 03:46:09.21 ID:Z22ZBlJ80
京太郎が攻撃を始めようとしたときである。京太郎は眉間にしわを寄せた。妙にいやな気配がし始めたからだ。そして、妙にいやな気配が松常久から漂っているのに京太郎は気がついた。
そしていやな気配を感じてすぐ京太郎は鼻を手で覆った。耐えられない悪臭を感じたのである。この悪臭について京太郎はさっぱ原因がわからなかった。
197: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/28(火) 03:50:20.00 ID:Z22ZBlJ80
揺さぶってきた黒服を無視してスポーツカーの助手席で京太郎がこういった。
「一応確認なんですけど、サマナーの世界で物証って証拠になるんですか? あの黒服さんは証拠があるといってますけど。
198: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/28(火) 03:54:43.68 ID:Z22ZBlJ80
車の外に出て行こうとする京太郎とディーに虎城がこういった。
「ごめんなさい。巻き込んで、本当にごめんなさい」
鼻声になっていた。振り向かなかったけれど、泣いているのだろうと京太郎は察した。
199: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/28(火) 04:02:50.26 ID:Z22ZBlJ80
黒服の提案を京太郎は蹴った。
「お断りします。構成員襲撃事件の真相を明らかにするというのならば、このような場所ではなく第三者を立ち合わせた場所で行うのが道理でしょう。
200: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/28(火) 04:08:19.17 ID:Z22ZBlJ80
松常久と黒服たちに向けて打ち出された稲妻は、何の手加減もなくオロチの腹の中を駆け抜けていった。その威力、範囲、迫力ともにすさまじかった。
二十メートルほどある道を丸々飲み込む一本の稲妻。進路上にある装甲車のほとんどは蒸発してしまっている。かろうじて残った装甲車は別の装甲車が盾になっていたためにかろうじて生きのこったものだ。生き残っただけで動くかどうかは怪しい有様であった。
201: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/28(火) 04:15:00.85 ID:Z22ZBlJ80
戦いの姿勢を作った京太郎を見て、ベンケイが話しかけてきた。自然体だった。まったく緊張の色がない。
「その勇気が命取りになる。自分でもわかるよな? 自分の性格を。
勝てそうにない相手が現れたとしても抗う姿勢。あきらめない気持ち。それは美徳かもしれない。あきらめないことで壁を突破できるかもしれない。
202: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/28(火) 04:19:02.48 ID:Z22ZBlJ80
オロチの触覚が警戒心を薄めたのを察してベンケイが京太郎に近づいていった。地面に下ろしていた箱をもう一度肩に担いで、スタスタと歩いてくる。そしてオロチの触覚を素通りして、京太郎に箱を突き出した。そしてこういった。
「じゃあ、これ。落し物」
203: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/28(火) 04:23:16.00 ID:Z22ZBlJ80
オロチの考えることはただひとつである。自分の世界から京太郎を帰さないこと。
ディーよりも厄介な相手が消えた今、目的を達成できる可能性が非常に高くなっていた。動かないわけにはいかないのだ。生ごみのように悪いにおいがする邪魔ものが大量に腹の中にいるけれども、そんなものはどうでもよかった。
三番目に動いたのが、京太郎だった。京太郎は特に何も考えずに、荷物をスポーツカーに運び込もうとしていた。普通なら巨大な木箱はスポーツカーには入らない。何せ後部座席がないのだから、入るわけがないのだ。
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