過去ログ - 【モバマスSS】ウォークザキャット
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1:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:24:42.31 ID:50iCEftvo

片側二車線の幅広の道路、その車道沿いにある歩道を俺は歩いていた。

日は今にも沈みかけようとしていて、橙色の空は物悲しい雰囲気を滲ませている。

往来にはスーツを着たサラリーマン、駅に向かって歩いていく賑やかな四人組、制服を着た学生などが居て、人通りが激しい。

目当ての少女を見逃さないように、俺は向かってくる歩行者の顔を遠慮なくじろじろと見ながら歩く。
 

見つけた。
 

制服に身を包んだ少女は、トレードマークとも呼べるものを頭に付けているはずもなく、代わりに赤い縁の眼鏡をしていた。

「やあ、久しぶり」

歩行者に紛れてしまわないように、大きめの声を出す。

向こうもこちらに気がついたようだ。

が、俺の顔を見た途端、表情をこわばらせ、踵を返して来た道を引き返そうする。

「ちょ、ちょっと待て!」

俺は慌てて追いかけて回り込み、彼女の進行方向を塞いだ。

「何も逃げることはないだろうが……みく」

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2:名無しNIPPER[sage]
2015/04/01(水) 04:26:30.47 ID:50iCEftvo
以前同名タイトルでスレ立てしたのですが、落としてしまい、性懲りもなく再度立てさせて戴きました。

今回は書き溜めがありますので、どばっといきます。
最後までお付き合いいただければ幸いです。


3:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:28:01.66 ID:50iCEftvo

久方ぶりに会った少女、前川みくは不満げな顔を隠そうともせず、言った。

「……こんなところで、何してるの?」

以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:28:45.63 ID:50iCEftvo

みくは大きなため息を一つついた。

「Pチャンのそういう頑固なところ、全然変わってないね」

以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:30:07.87 ID:50iCEftvo

みくに連れてこられたのは、猫カフェだった。

店内は喫茶店というよりも、インテリアショップのような趣があり、ゆったりとしたソファーや洒落た照明、漫画が詰め込まれた本棚が置かれている。

以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:31:03.14 ID:50iCEftvo

「猫語」

「え?」

以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:31:46.40 ID:50iCEftvo

みくは無理をして猫語を使っていたわけではない。

多少は意図的に使うこともあっただろうが、今みたいに会話に滲み出てくるように自然に使うことの方が多かったと、俺は思う。

以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:32:50.98 ID:50iCEftvo

「なあ、そろそろアイドルに復帰する気はないか?」

俺はなるべく深刻にならないように、みくに問いかける。

以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:34:00.90 ID:50iCEftvo

――

思い出す。

以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:35:00.35 ID:50iCEftvo

「前川みくですにゃー! どうぞ、よろしくお願いしますですにゃー!」

既にライブを終えたみくは、俺の隣で、CD片手に声を張り上げていた。

以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:35:44.56 ID:50iCEftvo

「なかなか厳しいな……」

「にゃー! Pチャン! 諦めたら、そこで試合終了にゃ!」

以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:36:53.47 ID:50iCEftvo

「ねえあれ」という声が聞こえてきたのは、その時だ。

周囲には様々な人の話声が混ざりあい、雑音めいたものが取り巻いていたのだが、その男女二人組の声は嫌にはっきりと聞こえる。

以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:38:26.77 ID:50iCEftvo

体の奥底で、得体の知れない、もやもやとしたものが渦巻くのが、わかる。

怒りだ。

以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:40:51.06 ID:50iCEftvo

本人たちからしたら、悪気はないのだろう。会話を盛り上げるための、一つの話題に過ぎないに違いない。

ただ言われた側からしてみれば、それは明確な悪意となって、突き刺さる。

以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:43:47.83 ID:50iCEftvo

またこの猫カフェに足を運んでいる。

みくに会うために来たのだが、学校を休んでいるのか、下校ルートを変えたのか、どちらにせよ会うことが出来なかった。

以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:45:34.79 ID:50iCEftvo

ふと、柱に張られた、一枚の紙に目が行く。

『ネコチャン総選挙!』とポップな字体で書かれたそれには、猫のランキングが記載されている。

以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:46:04.27 ID:50iCEftvo

「猫に話しかけているお客様、結構いらっしゃいますよ。私もよく話しかけますし」俺が戸惑っている理由に気付いたか、フォローを入れてくれる。

「でも俺は人間ですが」

以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:46:34.40 ID:50iCEftvo

「やっぱり!」

「あの、前川みくをご存じで?」

以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:47:38.20 ID:50iCEftvo

みくは、昔からこのお店に来ていた。特別話をすることもなかったが、店長さんからしたら常連さんという認識だった。

ある日の休日のことだ。家族で買い物に出かけると、その常連さんが、アイドルになって歌って踊っていたものだから驚いた。

以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:48:16.70 ID:50iCEftvo

「声を掛けたりはしなかったんですか?」

店長さんは困った顔になってしまった。

以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/04/01(水) 04:48:46.04 ID:50iCEftvo

すると、その時、不意に聞き覚えのあるメロディーが聞こえてきた。


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