過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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◆R/5y8AboOk
[sage saga]
2015/08/14(金) 03:38:00.28 ID:+FUAmXwk0
デジタル時計を見れば、そろそろ夕方に差し掛かるかという頃合いだった。
GDFの部隊の、その第一陣が投入されてから未だ数十分と経たない頃だ。
吸血鬼騒動の余韻も去りきらぬこともあり、特に喧噪騒がしい騒がしい事も無い京華学院周辺の町並みであるのだから、初めに遠く轟いた轟音は遮蔽なくその場にいた全員が聞くことになった。
天高く轟くそれは、エンジンの呻り声であると疑いはない。
して、何か奇妙に思うことがあるとすれば、国内最大規模を誇る京華学院が建つ、ある種高等な地域であるというに、こんな珍走団めいた騒音を轟かす者がそう果たしているだろうか―――それも、普段からこの周辺に慣れ親しんだものでなければ、考えなければ思いつかない程度のことであろう。
彼は典型的な後者だった。
GDFの駐屯地は、戦力の需要が恒常化した現在であってもその騒音の類や”軍事施設そこにある”だけで発生する市民感情の全て看破をされることは無く、エリート気質の強いこのような周辺区等からはとりわけ強い反対の声があり、必然的に駐屯地は遠くなる。
これらの問題に対抗すべくして、輸送ヘリの高機動化等が推し進められていったが―――ともあれ、ここは彼らにとって馴染み深い地域ではなくなっていたのだ。
そうした要因が、彼の咄嗟の判断を鈍らせたという事もあるだろうか。
遠くで不意に轟いたエンジン音を、彼が訝しむことは無かった。
決して環境音と同列に扱ったという事はない。が、とりわけそちらを注視するような事はなかったのだ。
それが故、彼は”それ”が近づいてきている際にも警戒が遅れ、その自由を許した。
暴走気味、だがあくまでも常識の範疇の速度でそちらに突っ込んでくる”それ”は次の瞬間、突如として弾丸めいた爆発的加速を発揮し、進路上の装甲車のフロントを踏み潰しながら飛び上がった。
ブラムを包囲する監視網の最も外側を警備していた彼は、鉄と強化ガラスがひしゃげる悲鳴に心臓をどくりと跳ねさせ、反射的に振り向くも、既に遅い。
ニトロ・ブースターの噴射炎の尾を引いて飛翔した二輪駆動は彼の頭上を飛び越え、直後に傍らで破裂した爆炎と衝撃波が彼の意識を刈り取った。
股下で破裂した一発は、距離の関係で先んじた一発に過ぎなかった。
膨れ上がる火球に下から照らされた真っ黒なシルエット。
そこから側面に伸びた二対の円筒が扇状の軌跡で振るわれ、ぼん、と発射音を連続させながら計六つのグレネード弾を吐き出した。
次々と破裂する火球が予定調和的にGDF兵の一団を巻き、熱と衝撃波の波に曝す。すれば、敵襲であることに疑いはなく、比較的爆風の被害を免れた数人が弾かれたように分隊支援火器と呼ばれた銃口を構えた。
狙いを付けるは上空を直線に飛ぶ鉄塊。
複雑な戦闘軌道を描くのでなければ、培った経験と電子機器の補正による偏差射撃の前には静止目標に等しい。
コンマ数秒の交錯を見逃さず、必殺。
従来よりもより戦闘向きの性格を強化されたモデル。装弾数が大幅に見直され、内部構造の見直しにより殺傷力を底上げされた四つの銃口が鎌首をもたげる。
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