過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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◆R/5y8AboOk
[sage saga]
2015/08/14(金) 03:41:34.58 ID:+FUAmXwk0
と、刹那。全く意識の外から降り注いだ鋭い激痛がGDF兵四人に連続して突き刺さった。
不意を突いて襲いかかった肉の裂かれる猛烈な痛みは、一点で交錯していた射線の尽くをあさっての方向に暴れさせ、辛うじて発射された数発の弾丸は何もない虚空に散る。
GDFの攻撃を振り切って質量兵器と化したバイクが仮指揮所へと突っ込んでいく様を見送り、上空から違法改造ネイルガンを撃ち散らした影───和久井留美は、自らと同じ速度で落下する、使い捨てたグレネードランチャーに鉄釘を撃ち込んで残弾を爆散させると、陽炎へ変じる炎と黒煙が揺らめく、GDFの陣形の最中へと着地した。
敵の配置は概ね偵察機の観測に倣っている。
帯状に連なる数人グループの包囲網―――取りあえずの視界確保を目的とした陣形は、高速の一点突破に対応しきれるものではない。正確に言うのならば、詰所の立地を言い訳にした戦力の順次投入という結果による、不完全極まりない陣形では。
今排除した四人も帯の一つ。現在脅威として認識できるのは、距離を離した場所にそれぞれ五人ずつ、こちらの側面に見える二つの帯───現在こちらを囲い込もうと動き始める───ぐらいのものだろう。
して、監視の目はこれだけとして、控えの戦力はどれほどか。
能力者戦力としてシンデレラは確実、ヒーロー同盟の援護もあるやも知れぬ。
彼等が到着するまで、大目に見ても一分の猶予はない。
一秒の思考を打ち切り、円上に散開しつつあるGDF兵に目を走らせた留美は、二方にネイルガンを向ける。敵は過去に分隊支援火器と呼ばれ、強靭な敵の撃滅を求められた現在ではアサルトライフルに迫る需要数を求められ始めた火器を構える。
敵集団二つにそれぞれ腕を振り向け、その場で牽制の弾幕をばら撒いた留美に少し遅れ、左右両方、計三つのマズルフラッシュが解き放たれる。三方から連続する弾幕が広がり、十字砲火の最中にあった黒塗りの影が霞むのと、無軌道にばら撒かれた鉄釘が殺到するのは同時だった。
両翼に分かれた部隊がそれぞれに体を庇う。
密度の薄い弾幕が与える脅威はおそらく殺傷を期待したものではないだろうが、彼等の気勢を殺ぎ、一瞬動きを鈍らせるには十全な効果を発揮できた。
生身よりは頑丈な得物を眼前に突きだして釘をやり過し、気の抜けぬ間に着弾点付近へ視界を流した班長は、そこに何も残っていないこと見た。
ぞっと身の毛よだつ己を押し殺し、左右に振れる景色の中に敵の影を探した隊長は、すぐそこに迫った脅威に身をこわばらせた。
その釘弾の連続は右方から彼を襲い、ぎらりとした鈍色の先端に血の気を引くも一瞬、半ば反射で振り回した火器の機体が細かい金属音を立てて襲い来る弾丸を幸運に弾く。
そうして瞬きしかけた目を見開くや、間髪入れずに視界いっぱいに広がる程に迫った黒い影が、細い腕をしならせてバイザー越しに彼を睨んだ。
ぎょっとして血の気を引き、引き金を引き絞った動作は思考の外のそれだった。
マズルフラッシュに押し出された弾丸が噴き出すよりも先、そう長くない銃身を抱え込むまでに接近した影は、そのまま神速の速さで男の腕から得物を引き抜くと、ぐるりと半回転させて柄を男の鳩胸に打ち込み、意識が真っ白になるような衝撃に突かれた体が数メートルを吹き飛び、転がっていく。
それを他の者が視認できたのは、一瞬遅れての事だった。瞬きするような間を縫って駆け抜けた敵の影にあっと意識を取られ、仲間の居たはずの場所に居るそれが敵であると理解するやという瞬間、揺らめいた両手のネイルガンの銃口が鈍く光る。
「──野郎ッ!!」
仲間の行く末と敵を同時に視界に捉えた数人が哮り、硬直を振り切って引き金を引き絞るのと、ネイルガンが喧しい火薬の音を連続させるのはほぼ同時だった。
不意打ち気味に数発の直撃を受けた二人と、押し寄せる弾幕を置き去りにして影のシルエットが霞み、次こそそれは人外の膂力による消えるような瞬発だと視認できる。
辛うじて目で追えるかという速度で飛び出した敵の軌道を追い、撃ち出された弾丸が大気を切り裂いた。
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