過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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444: ◆6J9WcYpFe2[sage]
2015/08/31(月) 22:18:01.60 ID:2hl+u/be0
きっかけは一通の手紙でした。


その手紙を受け取ったのは、さ……はぁとさんが怪我をしたということで、一緒に病院へ行っていたときでした。

はぁとさんが終わるまで少し時間が空くということでしたので、私は暇つぶしついでに手紙を送りたい人を探していました。

ですが、どうも皆さん、やはりというべきなのですが……お便りの方法には尽きないようでした。

「ここでも、ですか……っ」

私は地面に膝と手を着きそうになりました。

今や一人一台、いや、それ以上に携帯電話が普及している時代です。

どこでも話したい人に話せる今においては、人の手で届ける手紙の役割は少ないのかもしれません。



そんなことを考えている時でした。依頼人である男の人を見つけたのは。

その人は病院の中にある公園のベンチで、ただ空を見上げて呆然としていました。

その目は……なんだか手の届かない遠くを見ているような、そんな気がしました。

それが気になって、気づいたら声をかけていました。

「……あのっ、すいませんっ!」

その男の人は私の声に気づくと、ゆっくりとこちらに顔を向けた。

「……ああ、すまない。 ちょっと考え事をしていた。」

その男の人の姿は……ちょっと痛ましいものでした。

頭に包帯が巻かれており、左腕の先が無くなっていました。足を怪我したのか、車いすに乗っています。

そして何より、私の目から見ても明らかに生気がなくなっているように見えました。

「あのっ、大丈夫ですかっ!?」

「ああ、大丈夫だよ。 だが、私はもう生きるのが辛い。」

「……その、すいませんっ」

「謝ることはない。 もう俺は死にたい。 俺はあの街で、何もかもを無くしてしまった……

妻と娘がいないこんな世の中に、未練なんてない………!」

………この人は、死にたがっている?

こういう人を見るのはもう何度目なのでしょうか?

人類が能力を得始めたり、『カース』という未曽有の生命体による侵略など、様々な戦いがこの時代には渦巻いているという話を聞いて覚悟はしていたのですが………

………あれ?私をじっと見つめています。 どうしたのでしょうかっ?



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