過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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490: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/12/08(火) 00:36:55.34 ID:OBJgOl+No

『まだお前はできてなかったのか』

 兵士としての教育を拒絶する私のもとに、一人の男が訪ねてきた。
 子供である私の身の丈を何倍も超えるような長身に鍛えぬかれた筋肉。
 この人が私の故郷を滅ぼした人だと知ったのは、だいぶ後の話になる。
 そんな親の仇ともいえる人物が、私の元を訪ねてきて一体何の用だというのか?

『ここに一匹の犬がいるだろう』

 そうして私の暮らしていた施設の一室に連れてこられた私は、目の前で小さく震える子犬を視界にとらえた。
 小さく輝くつぶらな瞳は私の方をじっと見ている。
 いかにも弱々しく、このまま放置すればそのまま死んでしまいそうな子犬。
 私は思わず駆け寄って、その子犬を抱え上げた。

 体毛に包まれた小さな体躯は、ぬくもりを確かに私に伝える。
 それに答えるように私はその子犬を思わずギュッと抱いた。
 この子は私と同じだ。たった一人ぼっち。この酷く醜い狭い世界で私はこの子犬に共感を覚える。
 だからこそ同時に想像する最悪の展開。

 ここには最悪の住人しかいないのだ。
 あの男がこの子犬に大して意味を与えるのならば、想像することなど容易かった。



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