過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2015/12/08(火) 00:38:39.38 ID:OBJgOl+No
私の拒絶の意志をくみ取った男は、ただ一言そう呟く。
このまま暴力を振るわれたり、最悪殺されるものだと思っていた私は思わず拍子抜けする。
だが、当然それで終わらない。いや、もっと最悪があることを私は予想できなかった。
『お前は、殺さなくちゃならない。殺せなくちゃならない』
男がそう言った瞬間、私の手は自然と動いていた。
脳がそう指令を出したというわけではなく、まるで勝手に動いていることが当たり前かのように。
子犬を優しくそっとおろす。再び冷たい床材の上に戻された子犬は弱々しく私を見上げる。
私はそんな子犬を見下ろし、そっと両手を子犬へと近づけていく。
『いや』
そんな私の小さな叫びを無視するように、私の手はひとりでに子犬へと向かう。
そして首輪をはめるように子犬の首に指を回す。
『いやだ……』
子犬のぬくもりが私に伝わる。先ほどまで抱いていたぬくもりは、指先から腕を伝い、脳へと届く。
私の脳は子犬の首から手を放すという指令を出しているのに、手は一方的に情報を伝えてくる。
『い、や……』
徐々に絞まっていく私の指。すでに弱っていた子犬は泣き声すらほとんど上げることができずに、かろうじて苦しそうにもがく。
それと同時にわたしの気管も徐々に閉まっていくように錯覚する。
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