2:名無しNIPPER[saga]
2015/04/05(日) 20:35:46.58 ID:b6JeyJkM0
わたしが、鈴木くんは神様なのかもしれないと思うようになったきっかけは、ふたつの事件でした。
ひとつ目の事件が起きたのは、ある朝の登校時間のことでした。
交差点の手前で鈴木くんがぴたりと立ち止まると、腕を大きく広げました。
生徒の登校が妨害されたのは十秒ほどのことでしたが、
その直後、居眠り運転のトラックが交差点に突っ込んできて、ガードレールに衝突して止まったのです。
鈴木くんのおかげで生徒に怪我人はおらず、トラックの運転手さんも幸い軽傷で済んだようです。
その運転手さんは、交差点で止まったときなどに通学途中のわたしたちにいつもトラックの中から挨拶してくれたり、声をかけたりしてくれる優しいお兄さんだったので、
そのことを知ってショックを受けた生徒も大勢いました。
現場が騒然とする中、鈴木くんはいつの間にか姿を消していましたが、
鈴木くんの行動は生徒たちの間で噂となって広まっていきました。
「妨害」された生徒のひとりであるわたしにとっては、鈴木くんは命の恩人といえるかもしれません。
もうひとつの事件は美術室での授業中のことでした。
鈴木くんは、霧が発生するタイプの殺虫剤を使ったのです。
授業は中断され、いったん生徒は美術室からの退去を余儀なくされました。
当然、鈴木くんは先生から説教を食らい、何故そんなことをしたのか問い詰められていました。
そのとき、小さな地震が起こったのです。
震度はたいしたことがありませんでしたが、老朽化した美術室の蛍光灯は割れ、
土台が脆くなっていたデッサン用の石像はちょうどわたしの席の上に倒れていました。
もし、鈴木くんの殺虫剤騒ぎがなかったら、怪我人が出ていたことだけは間違いないと思います。
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