6:名無しNIPPER[saga]
2015/04/05(日) 21:43:58.30 ID:Ece2V8P70
中学の最初の夏休み,大阪のおばあちゃんの家に行く途中の駅で電車を降りて観光したことがある。
たった一年しか住んでいなかったけれど,その町は昔住んでいた町。
あの頃はまだ小さくて特に興味がなかったお城を,歴史に興味を持ち始めた当時,もう一度見に行こうとその町に寄ったのだ。
時間がゆっくり流れているような落ち着いた城下町,町並みも昔とほとんど変わらないままで。
それなのに,ここで過ごした日々は果てしなく遠い過去のような気がした。
それほど遠い昔ではないのに,その頃のことは陽炎の向こうでぼんやりとしてゆらゆらと揺れていた。
ふと目を離せば露と消えてしまいそうなくらいおぼろげで,不確かなものだった。
通学で何回も通った道,友達と一緒に遊んだ公園,春にプチ遠足でお花見をしたお城。
けれど一緒にいたはずの子のことが今一つ思い出せない。
あんなに一緒に居たのに,あんなに楽しかったのに,どうして……?
胸が締め付けられて,息がつまりそうだった。
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