過去ログ - 「伊織のグルメ」
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1: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 21:58:23.38 ID:OR5DcELy0

お盆に乗っているのは大きなどんぶり、それと長方形の平皿。
あとは冷水の入ったコップだ。

丼の中には黄色に染められたうどん。
平皿の方には、私の顔ほどもあるのでは無いか、と思うくらい大きな野菜のかき揚げが鎮座している。
茹でたてのうどんからは湯気が立ち上るが、香りはない。

そう、このうどんにはつゆが無いのだ。


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2:名無しNIPPER[saga]
2015/04/07(火) 21:59:13.68 ID:nk95QSrh0
続きか!期待!



3:名無しNIPPER[sage]
2015/04/07(火) 21:59:34.28 ID:Gnnn+Dnd0
ふむ


4: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:00:33.03 ID:OR5DcELy0

私がどんぶりとにらめっこをしていると、だんだん店内が混み始めてきた。

時刻は正午を過ぎた所。
周辺の会社員などが昼食を摂りに来たのだろう。
以下略



5: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:01:00.45 ID:OR5DcELy0



伊織「で、話って何よ?」

以下略



6: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:01:36.95 ID:OR5DcELy0

まぁ、スーパーアイドルであるこの私なのだから、冠番組の一つや二つ、話が来ても当然だろう。
むしろ遅いくらいだ。

だがここで疑問が生まれる。
以下略



7: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:02:56.63 ID:OR5DcELy0

そう、アイドルであるこの私にグルメ番組の話が来たというのだ。
確かにそこらのアイドルよりも舌が肥えている自信はある。
年末の格付け番組でも不正解は出したことが無い程だ。

以下略



8: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:04:43.38 ID:OR5DcELy0

なんとなればもう企画は通っているらしく、来月には撮りが始まるらしい。
あまりいい気分にはなれないがこれも仕事である。
やるとなれば全力で臨みたい。

以下略



9: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:05:47.03 ID:OR5DcELy0

掲示されているメニューには、うどんに欠かせない天ぷらやその他の具材が一切載っていない。
一体どうなっているのか……。

かけうどん、ざるうどん、乗っていて卵や刻みネギだ。
以下略



10: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:07:27.03 ID:OR5DcELy0

最初からこうしていれば良かった。
目の前に店員がいるのだから、システムを聞けばいいのだ。

おばさま「そうなのかい、じゃあおばちゃんが教えてあげるから。ほら、どのうどんにするんだい?」
以下略



11: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:08:19.54 ID:OR5DcELy0

私が注文するとおばさまは茹で上がったうどんをそのままどんぶりに放り込んだ。
冷水で締めないのかと思ったが、そういうものなのだろう。
続いて丼の中に生卵が入れられる。

以下略



12: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:09:10.85 ID:OR5DcELy0

よく見るとうどんを頼む場所の並びに、天ぷら類が置かれていた。
なるほど、最初にうどんを受け取り、好きな天ぷらをその後別個に取って、最後にレジで支払うシステムだったのか。

伊織「ご親切にありがとうございます〜」
以下略



13: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:10:16.38 ID:OR5DcELy0

店員「かきあげ揚げたてでーす、どうぞー」

男性の店員が、今上がったばかりのかき揚げを目の前でトレーに数個置いた。

以下略



14: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:12:57.85 ID:OR5DcELy0

伊織「これでお願いします」

店員「550円お預かりしましたので37円のお返しです」

以下略



15: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:13:44.20 ID:OR5DcELy0



そして時間は冒頭へ――――――。

以下略



16: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:14:52.77 ID:OR5DcELy0

伊織「これ、美味しいのかしら……? あむっ……ん〜〜〜! なかなかいけてるじゃない!」

まるで味の想像がつかなかったのだが、食べてみると意外にもコシのあるうどんに、濃厚な卵と醤油が一体となって広がってくる。
しかし、味としては卵と醤油しかない筈なのだが、その中に昆布出汁のような風味が感じられた。
以下略



17: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:15:20.97 ID:OR5DcELy0

伊織「はむっ……ん〜♪ ずずっ……んっく……はぁっ」

先ほどと同じく、コシと卵と出汁が三位一体となって駆け巡る。
味が残っている間に、揚げたてのかき揚げを箸で掴んでひとかじり。
以下略



18: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:15:48.50 ID:OR5DcELy0

伊織「王道のサクフワね。でもちょっと大きすぎないかしら……?」

うどんそのものも結構な量があるので、こんなに大きなかき揚げを食べきれるか不安になってきた。
残すのも悪いし、それに想像以上に美味しいのでできれば食べきりたいが果たして。
以下略



19: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:16:46.46 ID:OR5DcELy0

伊織「にひひっ。この残った卵醤油に浸けて……あむっ……はむっ……ん〜! いいじゃない、いいじゃない!」

サクフワだったかき揚げがしっとりと、しかし野菜の甘さの中に卵の濃厚な味わいと出汁醤油のしょっぱさが交じり合っている。
お腹はほぼ膨れているのに口を動かすことがやめられない。
以下略



20: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:17:20.51 ID:OR5DcELy0

先ほどの心配を他所に無事完食。
残った水を飲んで一息着く。

ぐるりと店内を一瞥すると、入ってきた時が嘘のような混雑度になっていた。
以下略



21: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2015/04/07(火) 22:17:51.22 ID:OR5DcELy0

返却口の所にいた店員さんに声をかけ退店。
初めてこういう所に来たが、なかなか悪くない。
どころかとても美味しく感じた。
胃袋に新たな歴史が刻まれたような気持ちになる。
以下略



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