31: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 23:51:11.78 ID:L/XPeEV/0
それともう一つ、新たな発見がありました。
最初の思い出では、わたしと女の子は言葉を交わすことができていました。
けれど一部のつらい記憶、忘れたいような記憶の中では、わたしの言葉は彼女に届かなかったのです。
32: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 23:52:10.12 ID:L/XPeEV/0
Memory - お姫様ティアラ
――小鳥の声が聞こえます。
夢の世界に沈んでいた意識が、ゆっくりと浮上していきます。
33: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 23:53:23.49 ID:L/XPeEV/0
「ん……ぅ、さむ……」
神戸でも山の手の方にある我が家は、冬になるとひどく冷え込むのです。この部屋は他に比べると狭い方ですが、それでも冷気は容赦なく体温を奪います。
34: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 23:55:17.19 ID:L/XPeEV/0
大型のエアコンが静かに風を送り始めます。柔らかな、暖かい風です。
北風もこの慈愛に満ちた暖かさを見習うべきだったのだと思います。こんな暖かな風であれば、旅人のコートを脱がせることもできたでしょうに。
一仕事を終えた手を引き戻すと、やわらかな布団が暖かく、優しく迎え入れてくれます。
35: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 23:57:23.84 ID:L/XPeEV/0
――二度目の目覚めは、小鳥の鳴き声ではありませんでした。
きっともう、どこかへと飛び去ってしまったことでしょう。
36: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 23:58:25.36 ID:L/XPeEV/0
それからきっかり30分。
鏡の向こうには、いつも通りのわたくしがいます。
寝癖を直して軽くお化粧。
37: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/10(金) 00:00:12.60 ID:RdULDmUX0
朝方、床に落としてしまった目覚まし時計に目をやります。
元の位置に戻しながら、時間を確認します。
現在時刻は1時過ぎ。
38: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/10(金) 00:02:48.46 ID:RdULDmUX0
まず、お昼ごはんは無事に食べられました。
というのも、わたくしが食堂に向かったところ、冷蔵庫に昼食が入っているという書き置きがあったのです。
ちなみにメニューはホタテときのこの和風パスタ。美味でした。
39: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/10(金) 00:04:01.49 ID:RdULDmUX0
一応、お部屋に戻って身だしなみを再チェック。
とはいえわたくしが食べかすを服に残すなどということ、まずありえないのですけれど……。念には念を入れます。
歯磨きとうがいを済ませて、お出かけの準備です。
40: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/10(金) 00:04:27.76 ID:RdULDmUX0
少し散歩へ行ってきます、と家の者にメールするのも忘れずに。
いつものお洋服の上にコートを羽織って、準備万端です。
玄関で室内履きを脱いで、おろしたての靴に履き替えます。
41: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/10(金) 00:05:22.52 ID:RdULDmUX0
しばらく、ゆっくりと家の近くを歩いていました。
目的地は特に決めずに出ましたけれど、とりあえず公園にでも行こう、というつもりでした。
でした、が――。
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