過去ログ - ABE NANA Z〜アイカツの「F」〜
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◆2YxvakPABs
[saga]
2015/04/10(金) 22:34:51.10 ID:N8MCYESO0
「あの、菜々さん」
事務所の廊下で呼び止められた安部菜々は、「はいっ」と返事をして振り返った。彼女が振り返ると同時に、ふわりとポニーテールが揺れる。
ウサミン星からやってきたウサミン星人。彼女はそういうキャッチコピーで活動しているアイドルだ。彼女を呼び止めたのは他でもない、プロデューサーである。
事務所の廊下を歩いていたのは、特に用事があったわけではない。
プロデューサーと視線がぶつかった菜々は、ニコリと笑う。
190は超えているであろう巨体の彼は、ずいっと菜々に視線を合わせるように前かがみになった。
彼の見た目のせいもあって、威圧しているようにしか見えない。
「少しお時間よろしいでしょうか」
「は、はい……」
身長差のせいもあって、思わずのけぞってしまう菜々。どうにも彼のこの仕草にだけは慣れなかった。
顔が近くて、少しドキドキする。
プロデューサーに引き連れられてやってきたのは、いつものプロデューサーの事務室だ。
大抵、何かの話がある時はこの部屋である。
新しい仕事が入ったのかな? と菜々は考えた。
「実は、新世代アイドル育成計画という案が上がっていまして」
「はぁ」
「菜々さんに、その新世代アイドルの方の育成係をお願いしたいと思っています」
「えっ!? ナナにですか!?」
プロデューサーの言葉にビックリたまげる菜々。
育成される側かと思っていただけに、その驚きは隠しきれない。
それと同時に、自分が育成する立場で大丈夫かなという不安もこみ上げてきた。
「新世代アイドルの方が『どうしても菜々さんに』と強い要望がありまして」
「そうなんですか? え、えへへっ。なんだか照れますね」
モジモジと服の端をいじったり、髪の毛を触る。どうにも落ち着かなかった。
そういう要望を出してくれるということは、菜々の事を強く尊敬しているということだろう。
不安もあるが、その事が嬉しくて、菜々はついつい浮かれてしまう。
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