過去ログ - 【ダンガンロンパ】ダンロンでほのぼのと薔薇薔薇する
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10: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2015/04/15(水) 06:58:30.16 ID:lh8PuTrJ0
 才能は手に入れるモノではなく、元々備わっているモノだ。ない人間がいくら頑張ろうと、努力しようと、徒労に終わるだけ。
 どれだけ望もうと、どれだけ憧れようと、俺に才能は眠ってなんていなかった。それだけの話。そう言い聞かせようとしてきた。それなのに諦めきれなくて、悪あがきする今の俺はなんて惨めなんだ。

日・不 「はあ」

日・不「えっ?!」

 映画館に備え付けられている椅子に座って物思いに耽り、ため息を吐いたところで誰かのため息と重なった。反射的に隣を振り返ると、小学生くらいの女の子が俺と同じように驚いた顔でこっちを見ていた。

日向 「……はは」

 顔を合わせたところで何かあるでもなく、どうしようもないから、とりあえず笑って誤魔化した。

不二咲 「ふふっ」

 そんな俺に、女の子も笑い返してきた。ふわりとして愛らしい笑顔。まさかのことに戸惑いと気恥ずかしさで顔をそらそうとした時――

不二咲 「何か悩みがあるの?」

 向こうから話かけて来た。

日向 「キミもそうなんじゃないのか? この映画観にきてるってことは」

 投げかけられた質問に対して、俺は質問で返してしまう。けれど女の子はそれを問題にはせず、俺の質問に素直に頷いた。

不二咲 「……うん……そうなんだ」

 さっきまでの愛らしい笑顔が曇り、少し俯いてしまう。

 今日観ていた映画の宣伝文句は“悩みを抱えるあなたに贈る”というもの。映画を観ただけで悩みが晴れるとは思ってはいないが、一応観ておくのもいいだろうと思い、足を運んではみたが……やはりそれだけでは、自分の悩みの解決になるような糸口にならなかった。
 この子も俺と同じ心境だったから、ため息を吐いていたんだろう。

日向 「キミみたいな小さい女の子が、俺みたいな初対面の男相手にってのが抵抗なければだけど」

日向 「悩みを聴くよ」

不二咲 「えっと……」

 この反応! やっぱマズかったか!?
 女の子はかなり困った様子で目を泳がせる。それはそうだ。会って数秒程度の人間に悩みを聴くと言われたって気持ちが悪いだけに決まっている。ただの変質者じゃないか。

日向 「困らせるつもりはなかったんだ! ごめん!」

不二咲 「ううん! 違うんだ! キミは悪くないよ! 僕が悪いんだ!!」

 女の子は身を乗り出して自分が悪いのだと強く主張する。何故彼女が悪いのかも、必死なのかも解らないけど……。

日向 「えっと……とりあえず、場所変えるか…邪魔になるし」

 女の子が叫んだことで、ちらちらとこちらに視線が集まっているのが解る。映画館のロビーだし、長居するのは邪魔になるというのも本当だけど、一番は居心地が悪い。どこかファストフードの店なんかに移動した方がよさそうだ。

不二咲 「あ、うん。そうだね」

 女の子の方も頷いて立ち上がる。自分から言い出しといてあれだけど…危機感なさ過ぎてこの子大丈夫か? と心配になりながら、映画館を出た。


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