15:名無しNIPPER[saga]
2015/04/12(日) 20:35:50.28 ID:HxMRahMLo
「楓さんが、栓を抜いたのは、最初の一本だけ……でした、ね」
「はい」
「洒落の洒の字は、『酒』では、ありません……」
「そうですね」
「酒から『せん』を一本、抜いて……そこで、『落ち』が付くん、です」
栓抜きを力無く握って左右に振ります。
私の心臓が、とくんとくんとうるさい音を鳴らしています。
お酒のせい、でしょうか。
「どうして」
「……?」
「どうして分かっていたのに、私のお酌に付き合ってくれたんですか」
「……ああ……いえ、簡単な、事ですよ」
プロデューサーさんが、突っ伏したままだった顔を上げました。
お酒で真っ赤になった顔には、素敵な笑顔が浮かんでいて。
「美人さんの、お酒を避ける……訳には、いき、ません、よ…………」
再び机に突っ伏して。
穏やかな寝息が聞こえてきました。
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