8: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 16:19:01.85 ID:dpPJnMuC0
共演者の名前は、先日聞いたものと何の違いもなかった。サプライズで誰かが出てくる可能性もあるが、そういった人物は有名か、あるいは誰も知るはずのないような人物しか居ないと断言してもいいので問題ない。
共演者についてちょっとしたことを話される。
このマネージャーさんは、私の本性を知らない。
私の仕事がモデル中心になってきた頃に付いたマネージャーさんだ。
歳は二十代後半。
私に付いた頃はまだ新人で、今考えても、どうして彼女が私に付いたのかわからない。
あの頃は『何も知らないお姉さん』といった印象だったけれど、今はもうだいぶしっかりしている。
……と言っても、彼女から話された情報くらいなら、私も既に知っているのだけれど。
今なら彼女にぜんぶを任せてもいいと思える。
でも、それはつまり、私が今までそんなことをしていたと話すということ。
それは、できれば、避けたいのだ。
彼女には、私のことを『理想的な子ども』だと思い続けてほしい。彼女を幻滅させたくはないのだ。
そうして、撮影時間が迫る。共演者への挨拶などは既に済ませている。
『今日はよろしくお願いします』といった定型文にいくつかの装飾を加えた言葉。
それから少しの世間話。
何も難しくはない、本当に、ただの挨拶だ。
むしろ、久しぶりに会った人とは話せて嬉しいこともある。
中には苦手な人も居るけれど、だからと言って、することは変わらない。
私はただ子どもらしく。理想の子どもの演技をする。それだけだ。
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