過去ログ - 八幡「メガネにするか、コンタクトにするか」
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42:1[saga]
2015/04/17(金) 13:32:57.51 ID:s/1pW2mHo
「あ、あの!」

「手紙の送り主?」

「は、はい!そうです」
以下略



43:1[saga]
2015/04/17(金) 13:33:32.26 ID:s/1pW2mHo
「あの、私比企谷先輩の事、かっこいいなって、その、クリスマス会私も見てました。幼稚園の子どもや小学生が出ておじいさんやおばあさんも喜んで、見てる私も楽しかったです。企画が生徒会って聞いたんですが、比企谷先輩が色々頑張って動いてたと聞いてきっと凄い人なんだって思って……」

嬉しさと恥ずかしさがあった。同時に彼女の強さと言葉に射抜かれるような鈍さが絡みつく。

「だから、最近噂に聞いた人が比企谷先輩って聞いて、その、どうしても気になって」
以下略



44:1[saga]
2015/04/17(金) 13:34:09.21 ID:s/1pW2mHo
「お、俺は」

言葉が続かない。

「俺は……」
以下略



45:1[saga]
2015/04/17(金) 13:34:37.37 ID:s/1pW2mHo
彼女はそう告げると、足早にその場を去った。

しばらく、そのまま時間が過ぎた。今はリノリウムの床しか見えない。体は俺の意を介すことなく。声を出すことも怪しい。

そのままの姿勢で立ち尽くす俺の前に、物悲しく柔らかい声が耳を打つ。
以下略



46:1[saga]
2015/04/17(金) 13:35:05.40 ID:s/1pW2mHo
俺には荷が重すぎた。こんなハズじゃなかった。浮かれた気持ちはなかったハズだった。真面目に答えようとした。彼女はどんな気持ちだったのだろう。今日という日をどんな想いで迎えたのだろう。振り絞って踏み出した先にある希望を掴もうとしたはずだ。それでも俺の言葉が断ち切った。報われないなんて、あんまりだろ。

「比企谷君」

凛とした声が食堂に響く。
以下略



47:1[saga]
2015/04/17(金) 13:35:36.44 ID:s/1pW2mHo
家に着くと真っ先に自室のベットに倒れ込んだ。頭が回らない。耳鳴りがする。何の音も聞こえない。

世界に俺一人だけ取り残された気分だ。着替えることも、寝ることもできない。

いつまでそうしていただろう。十分、三十分、ほんの一、二分なのかもしれない。時間の感覚が分からない。
以下略



48:1[saga]
2015/04/17(金) 13:36:05.84 ID:s/1pW2mHo
「結衣さんからメール貰ったよ。今日はお兄ちゃんの話何でも聞くから、言いたくなったら何でも言ってね」

「……サンキュ。愛してるよ小町」

「もう、しょうがないなお兄ちゃんは。今日はいくらでも甘えていいよ。小町的にはもうポイントカンストだからね」
以下略



49:1[saga]
2015/04/17(金) 13:36:34.54 ID:s/1pW2mHo
捻くれて、屈折して、やさぐれて。

寂しくて、悲しくて、苦しくて。

諦めて、放棄して、断ち切って。
以下略



50:1[saga]
2015/04/17(金) 13:37:03.24 ID:s/1pW2mHo
その後落ち着いた俺は今日の出来事を話した。小町は相槌を打つのみで拙い言葉で喋る俺の話を辛抱強く聞いてくれた。

「お兄ちゃん、今まで身内以外の強い善意なんて経験ないからねー」

よく覚えていないのは確かだ。両親からもほとんど受け取った覚えがない。気付いたら兄妹で支え合っていたような感覚だ。
以下略



51:1[saga]
2015/04/17(金) 13:37:45.75 ID:s/1pW2mHo
そう言うも俺を気遣ってか俺の手を撫で続けてくれる。弱ってると人恋しいのは仕方のないだろ。これで小町ルート開拓出来ないとかマジ人生クソゲー。

「じゃ、落ち着いてきたみたいだから、私の意見を聞いてもらえるかな」

「あぁ、聞かないわけにはいかないだろ」
以下略



52:1[saga]
2015/04/17(金) 13:38:41.74 ID:s/1pW2mHo
翌日。

困ったときに人はどうしたらよいのか。助けを呼べばいい。非常にシンプルな話である。

だから俺は助けを呼ぶ。違うな、助けてもらう。所詮人が一人でできることには限りがある。雪ノ下だって限界はあるのは文化祭でもわかっていたことだ。だから俺は自分の手に負えないと判断し、奉仕部を頼った。それが正しいと思った。
以下略



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