21:名無しNIPPER[ ]
2015/04/26(日) 20:50:52.93 ID:eM9XkrPr0
最初に話したのが、曙だった。彼女は産みの親の危篤の連絡を受け、1日の休暇が与えられた。
夜遅くに返ってきたであろう曙が、海岸でしゃがみこみ、着ている制服に海水をジャバジャバかけているのを、私は見かけた。
私は隣にしゃがみ込み、曙に話しかけた。
「どうしたの? 君は確か、外に出たんだよね?」
「……」
「外の世界はどうだった? 広かったでしょう」
「……ウザイ」
口を利く気力はある。僕は少し、ホっとした。
「……何があったんだ?」
「なんであんたに話す必要があるの?」
予想通りの返事。僕も彼女と同じくらいの年齢なら、こう答えたかもしれない。
しばらく黙っていると、曙は泣き出した。最初は小さかった嗚咽が、段々と大きく、そしてはっきりと聞こえてくる。
僕が覗き込むと、彼女は「泣いてないから」と強がった。
曙が落ち着き、静寂が訪れた。再度僕が、「何かあったの?」と尋ねると、曙は素直に、話してくれた――
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