過去ログ - 京太郎「その片思いは八方塞がり」
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34: ◆3j.5pj2xjQ[saga]
2015/05/09(土) 21:50:39.36 ID:NDnGFJD7o

気不味い沈黙が訪れる中どうしたものかと考えていると塞さんが徐ろに扇子を手に取った。


「そ、そんなに言うなら……買って……みようかな」


頬を染めたまま扇子を見つめる塞さんがそう小声で呟く。ややあって塞さんはこちらを見ると今度は耳まで真っ赤にしながらまくし立てた。


「べ、別に京太郎くんに似合うって言われたのが嬉しかったとかそんなんじゃっ……と、とにかく買ってくるね!」

「ま、待ってください!ちゃんと値段確認しましたか!?」

「値段?」


どうやらすっかり忘れていたらしく、塞さんは値段と聞いて動きを止めるとゆっくりと値札に目を向ける。そしてしばらく値札を穴が空くほど見つめた後、肩を落として扇子を元の場所に戻した。


「これ、こんな高かったんだね……」

「あっちに安いのもありますけど」

「……やっぱり扇子はやめとくよ」

「そう、ですか」

「あ、私ちょっとお手洗い行ってくるからここで少し待ってて」


塞さんはそう言い残すとどこか寂しそうに店を出て行った。

そして一人取り残された俺は先程まで塞さんが手にしていた扇子を手に取った。


「……よし」



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