過去ログ - 京太郎「その片思いは八方塞がり」
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54: ◆3j.5pj2xjQ[saga]
2015/05/11(月) 22:17:36.27 ID:T+nmJh3Xo
初対面の少女たちに囲まれて愛想笑いを浮かべる俺。普段女子部員に一人混ざっているとは言え気心が知れた仲間であるかどうかという差は大きい。そんな俺の様子に気付いてか、塞さんが助け舟を出してくれた。
「ほらほら、京太郎くんが困ってるでしょ。そういえばさっき何か言いかけた?」
そして笑顔で問いかける塞さん。言うのか?ここで?そんな考えが頭を駆け抜ける。ここで言わなければ恐らく二度と次の機会はやってこないだろう。
しかしこの場で想いを告げて、どうなるのだろうか。よしんばOKして貰えたとしても、自分のせいで塞さんの大切な場所に亀裂を入れてしまうのでは無いだろうか。
結局俺は、一歩を踏み出す勇気を持てなかった。
「い、いえ、何でも無いので気にしないで下さい」
「そう?」
「塞!そろそろホテル戻るよ!」
「早く帰って寝たい……」
「シロ!ドウロデネナイ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
友人達に急かされた塞さんは振り向くと最後に一言だけ俺に言葉をくれた。
「京太郎くん!ありがとう、すっごく楽しかった!」
「お、俺もですっ!!」
そして俺は遠ざかって行く塞さんの背中が小さくなって角を曲がって見えなくなった後も、ずっとその方角を見つめていた。
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