過去ログ - 永瀬伊織「人格入れ替わりしながら」稲葉姫子「ダブルデート?」
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名無しNIPPER
[sage]
2015/05/13(水) 02:12:59.61 ID:fTNAVwGR0
太一たちが入った喫茶店のすぐ近く――――窓際の席に座った太一たちが見える――――街路樹の木陰に桐山唯と青木義文の姿があった。
「やっぱり三人とも雰囲気が重いわね」
尾行ということで唯は服装をスポーティなものにしていた。
ラフなピンクのパーカーにジーンズ。
髪もアップにして、目深くキャップを被っている。
隣で同じように太一たちを見守っている青木はその逆だった。
フォーマルなシャツにスラックス、そしてグレーのジャケット。サングラスまでかけているのだが、この日に限って違和感を感じさせない。
表情から普段の緩さが抜けているため、一八○センチを超える長身とスタイルの良さから大人びた雰囲気を纏っている。
―――違和感が仕事してない!
と、心の中で全力で突っ込みを入れる。
まったく正反対のファンションセンスの二人組ということもあって、時折通行人から奇異の目で見らている。
「オレだったらあんな雰囲気、絶対に耐えられないよ……」
喫茶店に入ってからというもの、伊織も太一も稲葉も、どことなくぎこちない様子だった。
伊織や稲葉が交代で、太一の口にパンケーキを運んでいる。
伊織は稲葉を、稲葉は伊織を、不思議なもの―――あるいは幻か―――を見るような目で見ていた。
無理もないわ、という言葉を唯は飲み込む。
ほんの少し前まで三角関係だった男女がダブルデート。
それもお互いの身体が入れ替わり、『好きだった相手と恋人のように振る舞う自分がいる』という現象が起きているのだ。
「あたしだったら…………」
『あたしだったら』と考えて唯は思った。
例えると、例える場合は誰が誰に当てはまるのか。
太一が唯だとすれば。
青木と太一が、唯を巡って取り合っているようなものだろうか。
唯の脳裏に(若干)イケメン補正のかかった太一と青木に挟まれるビジョンが浮かぶ。
『――――桐山、今日はまた一段と可愛いな』
『そ、そう? えへへ……♡ って毎日言ってるじゃない!』
『そ、そうなのか!? 唯! 唯は今日も明日も可愛いぞ! 絶対だ!』
『アンタねぇ……それって今日も明日も変わんないってことじゃないの!?』
――――やっぱりない。ないないない。
思わず「ダメだわ……まず青木が太一に勝てる要素がないわよね………」と口にしていた。
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