過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
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161: ◆bBUdJHUgklsz[saga]
2015/07/25(土) 01:29:00.65 ID:mNNgXXBS0

  
 第二諸島の戦いも、戦況は深海棲艦の圧倒的な物量に終始押されていた。
 敵の一斉射撃は、扶桑の反撃など意に介さず山城を次々と襲う。
 流れ弾がたまに 扶桑の近くに着弾することもあるが気にする必要もない程度。
 
 扶桑が攻撃を1発当てても、その何倍もの攻撃を山城が受ける。
 敵を1体沈めても、山城の受けるダメージは着実に蓄積していく。

 起死回生の一手など無く。
 ただひたすら、攻撃が当たらないように祈り、動き続ける。
 休むことすら許されず、体力も限界に近い。
 もはや、気力で倒れることだけは避けているといってもいい。
 
 だが、それだけだ。
 動きは明らかに鈍っているし、砲弾が当たれば矢継ぎ早に何発も襲い掛かってくる。
  
 その猛攻を受けて、ついに山城は膝をつく。
 ゼイゼイ、と激しく肩を上下させ、痛みに身を、苦しさに心を震わせる。
 辛い、痛い、もうダメだ、早く楽になりたい。
 思わず、弱い心が口から出そうになる。

「山城っ!」

 妹の名を呼ぶ扶桑の声には、焦燥も宿っていた。
 しかし、最も強く感じられるのは、叱咤の激励。

 何をしているの、と一見非情ともとれる扶桑の心。
 しかし、泣き言など聞いている意味も時間もない。
 
 ここで倒れたら、敗北は決定する。
 そして、一度戦場に立つ覚悟を決めたならば、最後まで立ち続けなさい、立って、敵と向かい合いなさい。
 
 言葉でなくとも伝わる姉の思いに、無理やり恐怖を押さえつけ、蓋を閉める。 
 
「分かって……いますっ!」

 ギンッと、より鋭さを増した眼光を、敵に向けフラフラと立ち上がる。
 
 だが、さらなる絶望が、すぐに訪れた。






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