過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
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176: ◆bBUdJHUgklsz[saga]
2015/08/09(日) 00:04:26.84 ID:BatIyHXK0


「山城、逃げたい?」
「……はい」

 扶桑の問いかけに、キュッと弱く姉の袖をつかむ。
 そう、とその山城の手に自分のものを重ねる。

「私も、よ。怖くて怖くて、逃げ出してしまいたい」
「姉さま?」


 山城に添えられた扶桑の手は微かに震えていて、それを抑え込めるかのように強く握る。
 見上げた扶桑の顔は、眉が下がり唇を噛み、戦場で見せた凛々しい表情とは打って変わっていた。

「痛いのが怖くて、あなたを失うのが怖くて……早く終わってほしいのよ」

 それは山城も同じだ。
 攻撃が当たれば痛いし、走り続ければ肺が破裂しそうだ。
 自分の死も怖いし、扶桑が沈むのも怖い。鎮守府の皆を守ることができないのも辛い。

 あんなに、強いと思っていた扶桑が。
 常に憧れの存在で、儚くも優しく、そして熱い。
 そんな扶桑が、自分と同じように情けなく泣き言を言っている。

 
「……大丈夫、です。姉さま」
「……山城?」
 
 
 愛する姉が、すごく強いのだと、ずっと思っていた。
 だが、実は違った。扶桑も、実のところ気勢を張っていただけなのだ。
 なんだ、と。こんな時なのに小さく笑ってしまう。
 

 ――この人は、やっぱり私の姉さまだ……

 



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