過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
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◆bBUdJHUgklsz
[saga]
2015/05/07(木) 19:10:57.06 ID:IMm/5xos0
不幸型と揶揄されても。
欠陥戦艦だと馬鹿にされても。
それでも戦艦としての誇りだけは捨てなかった。
盛大な砲撃音に、身も心も揺さぶるような振動。鼻を突く火薬の匂い。
生と死の狭間で、唯一自分の存在意義を確認できた。
兵器でもなく、純粋な人間でもない。そんな自分の存在意義を。
だが、この作戦での自分の役割は勝つことじゃない。
生き残ること能わぬ場で、1刻でも長い時間を稼ぐこと。
もしかすると、数分も持たないかもしれない。
主力艦隊が駆け付けるまでの間耐え抜いたとしても、その間身を貫くような痛みや苦しみを味わうだろう。
どちらに転んでも、それは地獄でしかない。
「……違う」
力なく零したその声音は、いつもの勝気な山城からは想像もできないものだった。
「私が望んだ海戦は、こんなものじゃ……」
血が湧き立ち、心躍る戦を。
いつの日か、と待ち望んでいた。
こんなの、望んでなどいない。提督は分かってくれているはず。
これほどまで強く訴えているのに……。
――どうして何も言ってくれないのっ
言葉もかけてくれない。表情も崩さない。
自分たちがこの戦でどうなるかくらい、分かっているはずだ。
心配を見せるでもない。この作戦は正しいものなのだ、そう言葉に出さず投げかけてくる。
信頼する男から、死ねと言われて、願いも打ち砕かれて。
どうして、気を保っていられようか。
「山城っ!?」
逃げたい、この場から今すぐに。
そんな考えが頭によぎった、瞬間、体が動き出していた。
扶桑の制止も振り切り、提督室から飛び出した。
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