過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
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35: ◆bBUdJHUgklsz[saga]
2015/05/07(木) 19:24:02.84 ID:IMm/5xos0
扶桑ののばした手は虚空を掴む。何も言ってあげられなかった。
 山城は自分のただ一人の妹だ。考えや思いなど簡単にわかる。
 そして、それは山城のことだけではない。
この表情を崩さない男のことも、また同じように。
 
 山城が飛び出た扉を見つめ、すぐに提督と向かい合った。

「……妹が、ご無礼を」
「かまわんさ。……君も私に悪態をついてもいいんだぞ?」

 その言葉にフルフルと首を振る。薄らとだが笑みも浮かんでいた。
 それが、喜の感情ではないことは、誰が見ても明らかであったが。

「そんなことをすれば、貴方を助けてしまいますから」
「……君は見かけによらず厳しい女性だ」
「私から提督への、せめてもの仕返しです」

 ふふっ、と今度はおかしそうに笑う。
 優しげな眼に、何もかもお見通しですよ、とでも言いたげなその瞳に、思わず提督は頭を下げる。

「……すまない」
「……なにを、謝ることがあるのですか」
「おかしいと思うべきだったんだ。突然泊地が、同時に2つも発見されるなんて」

 前代未聞、というべき規模の泊地が、同時に見つかる。何か裏がある、対人であるならば、そう思って然るべきだった。
 だが、相手は謎の深海凄艦。これまでも突然出現して手あたり次第襲っていく、というただそれだけの行動しかとっていなかった。
 
 断定はできない。
 だが、もしこれが、深海凄艦の作戦だとしたのならば。
 それは深海凄艦が策を立てて攻撃をする段階まで成長した、ということではないだろうか。
 
 泊地は囮だった。
 真偽がどうあれ、現状、この国は窮地に陥った。これもそれも、敵を舐めていたからだ。




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