過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
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80: ◆bBUdJHUgklsz[saga]
2015/05/22(金) 00:06:53.81 ID:RmzNpYy80


「もう……。こんなに泣いちゃって。可愛い顔が台無しよ?」
「だっ、誰のせいだと……思ってんのよ……」

 こんなにも涙が出るのは、扶桑たちのことを愛しているからだ。
 扶桑には、その優しさに何度も救われた。
 山城は、ジメジメした空気にイラッとすることもあったが、それでも自分たちをちゃんと導いてくれた。
 
 2人とも、大切な家族だ。
 満潮だけではない。時雨も、最上も、みんなそう思っている。
 みんなで過ごした時ほど心安らぐものは無い、そう思えるほど楽しかった。
 
価値観がぶつかって喧嘩したこともあった。
 それでもみんながそうやって自分を出せることが、どれほど素晴らしいことか。
 一つの塊で、それぞれの色を出し合うことがいかに難しいことか、成長するにつれ自然と理解していく。 
 だからこそ、周囲の顔色を伺うことしかできなくなる。空気を読んでいる、とそれらしい言葉を掲げて。
 その実、行っているのはただ自己を殺しているだけ。
 
 そうなってしまわぬ様、どれだけ落ちこぼれても、周囲の目を気にしようとも。
 自分で自分を陥れるような真似だけはしない。
 それは、自分の存在の否定だ。それだけは、絶対にしてはいけない。
 
それが扶桑の考えだった。
 自分が自分を殺してしまったら、誰が認めてくれようか。
 
自分という存在を否定しないこと、常に存在する意味を見出すこと。
 みんながみんな、違うのだということを受け入れること。
 それが、自分を受け入れることに繋がるのだ、と。

 言葉にせずとも、その姿勢で、在り方で、皆に示してきた。
 それもこれも、全て彼女たちのため。

「これからの鎮守府を支えていくのは、あなた達なのだから」

 清く、正しく、真っ直ぐに。
 成長してくれたからこそ、扶桑には心残りなど微塵もなかった。





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