過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
1- 20
88: ◆bBUdJHUgklsz[saga]
2015/05/23(土) 19:42:05.88 ID:bX5Geso30
 
 
 聞こえてくるのは、荒々しい波音と航行する音だけで、それ以外は何も聞こえてこない。
 陽が落ちた海は、何もかもを飲み込んでしまうように感じられ、微かな月明かりを頼りに海を進む。
 

 そこにいる誰もが言葉を発することはなかった。
 周囲を警戒中、ということももちろんあるが、そのようなことでここまで静まることはない。
 その最たる原因である扶桑と山城を中心に、航行する数隻の艦娘たちの表情はどこか歪んでいた。
 時雨に満潮、最上、朝雲に山雲。せめて、少しでも一緒に、という彼女たちの願いを提督は受け入れてくれた。
 だと言うのにお互い、顔を見合わせることも話しかけることもできない。
 

 これから死地へと向かう二人に、どんな顔を向ければ、どんな言葉をかけるのが正解なのか。
 無理やり作った笑顔で接するのも、明るい声で話しかけるのも、間違いでは無いだろう。
 それでも、それをできるような空気でもないこともまた事実で。
 結局、誰も話しかける勇気がないまま、進んでいく。


 共にいられる時間ばかりが減っていく。
 



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
236Res/136.79 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice