過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
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89: ◆bBUdJHUgklsz[saga]
2015/05/23(土) 22:23:06.04 ID:bX5Geso30


「……ここまで、だね」

 先頭を進んでいた最上が立ち止り、小さな声で呟く。
 あらかじめ定められたポイントに到着したことを告げると、ゆっくりと皆が集まってくる。
 ここから先は、扶桑、山城のみが進むことになる。
 2人しか進むことが許されていない、破滅への道。
 皆思っている。提督の命に背いて、このまま扶桑たちとともに、戦おうと。
 扶桑と山城だけに、重荷を背負わせるわけにはいかない。辛い思いだけはさせるわけにはいかない。

 けれどそれはきっと、扶桑たちは許してくれない。
 そんなことを言い出したら、彼女たちの覚悟を踏みにじることになる。
 悲痛な思いを噛み殺して、絶対的な死の恐怖を飲み込んで。
 
 それでも、そんな恐怖を殺してまでも戦うと決意した。
 その心を蔑ろにするわけにはいかない。
 
 愛しているからこそ、自分たちの感情を出すわけには行けない。
 愛しているからこそ、理解したくないものも分ろうとしなければならないのだ。

「皆、ありがとう」

 護衛についてくれたそのお礼を扶桑は告げる。
 しかし、その言葉にはそれだけではない意味も持つように思われた。
 
「2人とも……気を付けて」

 もはや気休めの言葉にもなっていない言葉を時雨は言う。
 気を付けて、などはほとんど無意味な言葉かもしれない。
 それでも、何かを言いたかった。これが最後の会話になるのかもしれないのだから。





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