41: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/05/14(木) 20:27:13.50 ID:X87xais80
姫「私は本当に姫なのか――それすらもわからないんです」
王子(そういや…)
姫がさらわれた国など聞いたことない、姉姫がそう言っていた。
姫「魔王に囚われていた姫…もしかしてそれも嘘なのかもしれません」
王子「それは――」
そんなことはない、なんて言えなかった。
もう魔王も、魔王の手下も、ここにはいないのだから。
姫「魔王が討たれた後、誰も私を迎えに来てくれませんでした」
姫が亡国の姫だったとしても、その国にいた者は他の国に移った。
国が滅びた時点で、姫は姫でなくなる。つまり姫に、帰る場所は存在しない。
姫「私はもう、必要のない存在――」
王子「――っ!」
姫の言葉は、王子の心にストレートに突き刺さって。
姫「人々から忘れ去られて、自分でも思い出せないってのは…こんなに苦しいことなのですね」
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