11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 18:04:19.21 ID:+HxJNIVIo
【とある日の私と幸】
唯も言っていたけど、大学のキャンパスはとにかく広い。
桜が丘高校も、校舎こそ一棟だけではあるものの敷地自体は結構広く取ってあった…と思う。他所の高校と比較したことがあるわけじゃないけど。
まあ桜が丘高校が他所と比較してどうだったかは置いておいて、ここN女子大は桜が丘高校と比較してはるかに広い。その面積の広大さに比例して教室も多いから最初のうちはとにかく迷った。
そしてついでに、面積が広大だからこそ、遠目に知った顔を見かけることがよくある。目が合ったなら手を振ったりするが、そうでなければわざわざ呼んだりするのも憚られる、そのくらいの距離で。
幸「あっ、あれ、唯ちゃんと晶だよね」
澪「うん。確か二人ともまだ講義あるって言ってたよな?」
幸「そうだね、移動中かな。私達はこれで終わりだけど」
澪「だな……」
「今は忙しそうだな。やめておこう。」
「唯とはまた部活の時に会うし、今じゃなくてもいいか。」
「……明日でもいいか。いつでも会えるんだし」
最近、私がよく使う言い訳はこのあたりだ。使うと言っても脳内でだけど。
何に対する言い訳かというと……その、今度唯と『する』時は私の方から誘おう、と考えているんだけど……それに対する言い訳だ。
何て言って誘えばいいかわからない、という言い訳だけは出来ない。唯もそうだったんだから。それはわかってる。わかってないといけない。
だからホントにタイミングだけのせいにして、勇気の出せない自分をごまかしている。
……うん、全部わかってるんだ。私が一歩踏み出せていないだけなんだって、ちゃんと自分でわかってる。
それでも……
幸「……澪ちゃん、顔赤いよ?」
澪「そ、そう? ちょっと昔の恥ずかしい話を思い出しちゃって」
幸「聞いていい話?」
澪「や、やめてくれると助かるかな……」
……やっぱり、想像すると恥ずかしい。
でも、やっぱりずっとウジウジしてるわけにもいかないよな。唯が勇気を出して言ってくれたのは、私にもちゃんと伝わってるんだから。
わかってるんだからこそ、私も行動しないと。じゃないと唯を悲しませてしまう。
唯を悲しませるために付き合ってるわけじゃない。それは確かなんだ。
でも……でも、やっぱり、恥ずかしいっ……! こんなんじゃダメなのにっ!
澪「……幸」
幸「何?」
澪「……今まで黙ってたけど、実は私、恥ずかしいのとか、すごくダメなんだっ……!」
幸「……うん、そんな気はしてたけど」
澪「何か、何かいい解決法とか知らないか!?」
幸「背を伸ばして注目されるのに慣れるとかどう?」
澪「………」
幸「………」
澪「……ごめん」
幸「冗談だよ?」
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