25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 18:18:25.06 ID:+HxJNIVIo
唯「み、澪ちゃん、あのっ」
澪「……何なら、確かめてもいいんだぞ。身体の隅々まで、唯と私のどこが違うか、探してもいいんだぞ…っ」
唯「澪ちゃん……泣いてるの?」
いや、私は怒っている。何にかはわからないけど。
怒っているはずなのに、何故か涙も止まらないけど。
澪「っ、うぅっ……」
私は怒っているのだろうか。それとも悲しんでいるのだろうか。
それはわからないけど、他にわかることはある。
そんな気持ちばかり溢れ出るほど、私は唯のことが好きだ、ということ。
宇宙人だと明かされても、まだ好きだということだ。
澪「唯っ……」ギュッ
唯「み、澪ちゃん……」
澪「怖くない。気持ち悪くなんかない。宇宙人は怖いけど、唯は怖くない」
唯「で、でも……」
澪「わからないよ、私には。唯と私の、何が違うのか……」
唯「………私にも、わからないよ。でも、違うらしいから……だから、私は……」
……ああ、そういうことだったのか。
唯の中心の一本線、私に見えなかったのも当たり前だ。なぜならそれは唯にも明確には見えていなかったんだから。
唯は宇宙人で、私達は地球人。その違いを唯はいつもどこかで意識し、地球人らしくあろうとした。
でもその具体的な違いは何もわかっていなかった。意識して、気にして、隠そうとして……わかりやすく言えば怯えていた。
強いて言うなら、それは『見えないものに対する怯え』だったんだ。
見えないものに怯えているからこそ、見える範囲では誰よりも『人』らしかった。それだけなんだ。
それだけのものが作り上げた『唯』に、私は惹かれたんだ。
澪「……聞きたい」
唯「えっ?」
澪「唯の生い立ち。知らないことだらけだから、聞きたいよ」
唯「……そうだね、答える義務があるよね、私には」
澪「そんな堅苦しいものじゃないよ。好きな人のことを、ちゃんと知りたいだけ」
唯「澪ちゃん……!」
この時ようやく、唯が私のことを抱きしめ返してくれた。
◇
唯「私が宇宙人だって知ったのは、だいぶ小さい頃だったよ。お父さんとお母さんが教えてくれた」
澪「ということは、ご両親も?」
唯「うん。お父さん達が自分の星を捨てて地球に来て、それから私と憂が産まれたんだって」
澪「あ、そうか、唯もご両親も宇宙人ということは憂ちゃんもなのか」
とはいえ、不思議と納得はできる。
人という枠に収まらないほどの魅力を持つ点は、唯も憂ちゃんも共通しているから。
唯「でもね、だいぶ小さい頃だったからお父さんお母さんも詳しくは教えてくれなかった。「唯は他の子とは違うけど、それは内緒にして、忘れて、普通に皆と一緒に楽しく生きなさい」だったかな? そんな風に」
普通に、か。
今更だけど、宇宙人と聞くと『地球を侵略しに来た』みたいなイメージがある。
でも少なくとも平沢家にはそんな目的は無い様だ。
唯のことを信じると言った私にとって、その事実はホッとする…というよりは嬉しい事実だった。
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