27:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 18:21:02.30 ID:+HxJNIVIo
原因が宇宙人であることにあるとはいえ、信用を失うのが怖いから踏み出せない、という気持ちはわかる。
でも、やはり唯らしくはない。「普通に生きる」と言ってた唯にとって、そんな自分らしくない自分を見ることがどれほどの苦しみだったか……私にはわからない。
……唯に私と同じ臆病なところがあることを喜んでいたさっきの自分を殴ってやりたい。
澪「……ごめん、唯。気づいてあげられなくて。好きだって、ずっと見てたって言いながら、全然気づいてあげられなくて、ごめん」
唯「……必死に隠してたからね。だって、気づかれたら宇宙人だってことまで言わなきゃいけないし。なかなかの演技力でしょ? まあ結局言っちゃったんだけどね」
澪「……唯のことは、わかりやすいやつだって思ってたんだ、私、ずっと。わかりやすいけど、時々想像もつかないすごいことをする。そんな唯が好きだった」
唯「澪ちゃん……」
澪「ある意味では、そんな私の思い描く唯そのままなんだけど。でも、唯の一番の秘密を知ってしまったからには、私も考え方を変えたい」
変えたいというか、私が変わりたいのかもしれない。
気づいてあげられず、唯を苦しめたのは事実なんだから。
澪「私は、唯のことを全部理解して、悩みに気づいて、隣に立って大切にしたい。そんな私になりたい……」
きっとそんなこと、到底無理なんだろう。
でも、そうありたい。そうなりたい。
唯が宇宙人だろうと何だろうと関係なく。
澪「そう思うくらいには、唯が好きだ」
唯「……私だって、頑張って隠そうと思えば頑張れるんだよ、澪ちゃん」
澪「………」
そう言われると返す言葉がない。実際、さっきまで隠し通されていたんだから。
私からは、これから頑張る、としか言えない。
唯「……でも、もう澪ちゃんに隠し事はしたくない……もうこれ以上は耐えられない。そう思うくらいには、澪ちゃんが好き」
澪「……そうか。そうかあ。そう言ってくれるかあ……」
唯「ほ、本心だよ!」
澪「うん、私も本心だよ。唯の秘密の内容自体は、何も関係なかったみたいだ」
唯「そ、そっか……よかったぁ……」
宇宙人という存在は未知のもので怖いけど、どこか未知なところもある唯を私は好きになったんだ。
そして、唯の存在は怖いなんて言葉とは程遠い。
大体、自分でも違いがわかっていないような宇宙人を、違うからという理由で拒絶なんて筋も通らない話だし。
そもそもどこかが同じでどこかが違う、そんな唯に惹かれた私が違いを理由に嫌いになんてなれなかったんだ。嫌いになりたかったわけじゃないけど。
……ああ、そっか。
嫌いになんてなりたくないなら、嫌いになんてなるはずないか。
澪「……唯」
唯「……澪ちゃん」
澪「……い、いい?」
唯「……うん」
それだけで、唯は察してくれた。
目を閉じる唯に近づき…………キスをした。
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