32:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 18:25:28.79 ID:+HxJNIVIo
唯「何の話してたの?」
澪「ん……」
一瞬、言葉に詰まる。
目の前にいるオカルトじみた存在である唯に対し、それらで盛り上がってた、なんて言うのは少し抵抗があった。
……オカルトは言いすぎかな。宇宙人ってジャンル的には何に分類されるんだろう、SF?
って、そんなことは後で考えるとして――
律「なーんか私達の身の回りにも面白いこと転がってないかねー、って。そもそもの発端はムギなんだけど」
紬「この前、ウチの別荘の浜辺にね、変な図形が描いてあったらしくて。菫が写真を送ってくれたんだけど……」
私が止める間もなく、律とムギが話を進める。
もっとも、私が変に止めてしまうのもそれはそれで不自然だ。唯が宇宙人であるということをまだ二人は知らない。止めてしまえば、その理由を問われてしまう。
唯が律とムギにも自分から伝えたいと言っていたから、こんな形でなし崩し的にバレてしまうのは絶対望ましくない。
そんなこんなでいまだに口を開けない私を置き去りに、ムギが携帯電話の画面を唯に見せ、律が語る。
律「ほら、これ、ミステリーサークルとかナスカの地上絵とか、そんな感じの意味ありげな記号に見えね?」
唯「わぁ、ホントだねぇ」
……内心、とてもホッとした。ミステリーサークルだなんて単語を出されても、唯は自然な反応をした。
……唯の中で積み重ねられた『何も変えない頑張り』の前には、私の心配なんて無意味なようだ。
晶「って、別荘だって!? 今更だけど、マジモンのお嬢様なんだな……」
律「広くて快適ですごいんだぜー」
紬「今度晶ちゃん達も来る? スタジオもあるのよ?」
晶「マジか! それは良い環境だけど……本当にいいのか?」
紬「もちろん。あ、でもどの別荘が取れるかは親に聞いてみないとわからないわ……」
菖「……「どの」って言った? 今」
幸「いくつあるんだろうね、別荘……」
晶「すげぇな……」
唖然とする晶たちを尻目に、私達が思うことは。
澪「……なんか」
律「数年前の私達を見ているようで微笑ましいな」
澪「うん」
くらいである。
当時の私達も相当驚いたけど、大学で立派な庶民へと成長したムギしか見てない人にとっては輪をかけて予想外なんだろうなあ。微笑ましい。
律「とりあえずさ、そんなこんなで「よく聞く不思議な話ってどんなのがあるっけ?」みたいな感じで皆で言い合ってたってワケ」
唯「ふーん……ねぇムギちゃん、お願いがあるんだけど」
紬「ん、なぁに?」
唯「その別荘に描かれてた図形、他にもあったら見せてほしいんだけど……ダメ?」
紬「うーん、唯ちゃんの頼みなら聞いてあげたいのはやまやまなんだけど、他にはないみたいなのよ。これが描かれてたのも今朝みたいだし……」
唯「そっか……」
紬「……また描かれてたら送るように伝えておくね?」
唯「うん、ありがと、ムギちゃん」
60Res/152.20 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。