過去ログ - 澪「グレイッシュ・ガール」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 18:00:21.92 ID:+HxJNIVIo

【あの子の事とあの子の事】


――晶に取引として馴れ初めの話とかを聞かせろと言われたものの、実は私と晶が二人きりになることはほとんどない。学部の同じ唯と晶なら結構あるだろうけど。
ちなみに先日のことで唯を一応叱ってはおいた。どれだけ効くかはわからないが。
でも仮に効いてなくて唯が口を滑らせても晶が気を配ってくれるんじゃないか、とも思う。晶は見た目は怖いけどいいやつだから。見た目は怖いけど。
私でさえわかっているそれを、もっと知っているのが付き合いの長い菖と幸。講義中以外、晶の周りには常にあの二人がいる。
まあ、私の周りにもありがたいことにいつも3人いてくれるんだけど。だからこそ、晶と二人きりになることはほとんどない。
よって、話はあまり進まない。

話は少し変わるけど、いつも周囲に誰かがいるという意味では唯の右に出るものはいない。
律ならいい勝負が出来そうだけど、それでも僅かに及びそうに無いと私は思う。
律が劣っているという意味ではない。律のコミュニケーション能力はなんだかんだで私も評価している。でも、それでも届かない気がするんだ。
なんというか、一言で言ってしまえば、唯の愛され方は人間のそれとは一線を画しているとさえ思う。
いや、唯という人物の内面、人間性が、良い意味で『普通の人間』らしくないのかもしれない。
人によっては放っておけなく映るのかもしれない。人によっては物珍しく映るのかもしれない。
人によっては面白可笑しい奴と映るのかもしれない。人によっては性的に映るのかもしれない。
私にとっては……考えはわかりやすい奴のはずなのに、何故か捕まえられない、捉えきれない。
そんな奴だった。
ふわふわだった。

想いを伝えるまでは。




【数日後/いつもの毎日】



香奈「澪ちゃん! 例のブツ、持ってきてくれた?」

澪「あ、はい…一応」

菖「えっ、何を密輸してるの澪ちゃん?」

澪「大したものじゃないよ…」


そう言いつつ、その『例のブツ』を広げて部長に見せる。
本当に大したものじゃない。学祭の時に私達が着た、唯がさわ子先生と結託して作り上げたTシャツだ。


香奈「大したものじゃないですって!? 澪ちゃんにはわからないの!? このTシャツの素晴らしさが!!」

澪「え、えっと…?」

菖「かわいくていいなぁとは思うけど」

香奈「菖ちゃんもわかってないわね! このTシャツの!Tシャツの!えっと、この……手触り!たぶんなんかいい生地使ってる!!」

澪「………」

菖「……部長、制服好きキャラのわりに雑ですね」

千代「ほら、香奈はほとんど制服専門で、尚且つ収集家寄りだから」


言って、廣瀬先輩がこっそり私に目配せする。軽く流して欲しい、ってことだろう。
合宿の件などがあって部長の制服好きは唯にまで知られるような事態になってしまっているけど、それでも根っこの真相を知っているのは私だけだ。
変にバレてしまってもよくないと思うし、協力しよう。……部長に脅されている身でもあるし。




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