過去ログ - 大庭葉蔵「僕は、自演のないところに行くんだ」
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17:名無しNIPPER[saga]
2015/05/17(日) 22:11:23.87 ID:DEaQArjQO


翌日、メロス君の家がある村で、まだ日が高いうちから前夜祭を兼ねて豪勢な宴会が開かれました。

結婚して間もないメロス君の妹は大層な美人で、笑顔を絶やすことなく宴席を駆け回り、もてなしに遺漏ないようつとめていました。


自分はふと考えました。これまで自分の生涯で、このメロス君の妹ほどに美しく、気立てもよい女性に巡り合ったことがあっただろうか? 


あえて挙げるならヨシ子でしょうが、彼女とて、この妹君の旭日(きょくじつ)のような美しさの前では、明け方の半月みたいに霞んでしまいます。

それ以外を思い出していけば、どれも立ち枯れたカキツバタのような女しか浮かんでまいりません。

自分はそんな女たちを引き付け、無抵抗に受け入れたのでした。

何事も、水の流れと人の身はといった調子でしたから、まさしく、何をくよくよ川端やなぎと、今の自分に落ち着いたのです。


からごろもきつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ。


こんな自分を見れば業平も渋い顔をせずにはいられないでしょう。


損な役回りを引き受けたもんだ。

自嘲を肴に地元の葡萄酒をあおっていると、これもまた大層酔っ払った堀木が絡んできました。



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