過去ログ - 【艦これ】艦娘「ケッコンカッコカリオコトワリ」 2
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367: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 22:59:40.29 ID:0ZrClgpZ0
『何か』があってからでは間に合わない。
そんな不測の事態が無いようにしなければならない。
それには何が必要なのか。
練度、火力、装甲、速度、資材、兵装、戦術、先見、経験、勘――。
戦いに必要なものをとにかく探って、ひたすらページを繰り続けて暫く経った頃。
以下略



368: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:00:35.39 ID:0ZrClgpZ0
その手が、ぎしり、と止まる。
一瞬返答に詰まったのは、扉の向こうから聞えた声のせいだ。

声自体に驚いたというわけではない。
もちろん、その声の主のせいだ。
以下略



369: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:01:11.46 ID:0ZrClgpZ0
そして俺の声に応じてあっさり開いた扉の向こうから、吹雪が執務室に入ってきた。
艤装は置いてきたのだろうが、きっちり服の襟を正して、少しだけ照れくさそうに笑った吹雪は、俺に向かってぴしりと綺麗に右手を掲げた。

吹雪「作戦完了……したんですけど、ちょっと危なかったみたいです。ご心配をおかけしてすみませんでした」

以下略



370: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:01:52.85 ID:0ZrClgpZ0
提督「良かった、本当に」

確か、俺は笑っていたと思う。
吹雪に歩み寄り、彼女の後頭部に腕を回してしっかりと抱き寄せた。
数分前の弱々しい彼女からは想像もできない力強さで、腕の中で吹雪がもがいた。
以下略



371: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:02:23.04 ID:0ZrClgpZ0
しっかと固めた腕からの脱出は不可能そうだと悟ったのか、やがて吹雪はその抵抗を弱め、恐る恐ると言った体で俺の背中に同じように手を回してきた。

吹雪「司、令官……。あの……」

提督「何だ?」
以下略



372: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:02:54.96 ID:0ZrClgpZ0


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373: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:03:26.89 ID:0ZrClgpZ0
艦娘は人では無い。

あの瞬間にそれを理解したのだろうと、今ならわかる。
そして、同時にその認識に蓋をしたことも。

以下略



374: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:04:01.67 ID:0ZrClgpZ0
優秀と言われ調子に乗った人間が、一度は陥る落とし穴。
踏み固められた道に乗っていただけの癖に、その路肩に立っている注意書きを無視する愚行としか言えないような反骨心。
優秀だから。
上手くいっているから。
前にへまをした幾人もの人間と同じ轍を踏むなんて夢にも思わなかった。
以下略



375: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:04:32.12 ID:0ZrClgpZ0
付き添うと、彼女らの息吹を感じるのだ。
吐息は鈍器、腕を伝う血は刃物だ。
それらに打ちのめされ、自分の中の理性は崩れていく。
それを確かに感じながら、俺はそれから目を逸らした。
そして俺の心の損傷は、あの日の吹雪の傷と同じように、蓋の下で俺に気付かれないままぐずぐずと襞を広げていった。
以下略



376: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:05:01.15 ID:0ZrClgpZ0
過去の、それも艦娘達が現れた時よりもっと昔の、艦船が海上を航行し火力を運用するようになったその黎明期のものまで遡って片っ端から。
幸い、俺の仕事は艦娘達が肩代わりしてくれるのも多く、時間の確保は容易だった。

水上戦、航空戦、対空戦、潜水戦、対潜戦、火砲、魚雷、機雷、爆雷、単縦、複縦、単横、輪形、傘形、夾叉、至近、直撃、破損、轟沈――。

以下略



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