過去ログ - 貴方の私と私の貴方
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10: ◆and2h/yWHc[saga]
2015/05/24(日) 01:40:23.06 ID:MJkSTpLK0
-死と愛と-

「久しぶりだな、神通」

目の前には見慣れた、予想していた人物がいる、本当はいて欲しくはなかったが

「ええ、お久しぶりです提督」

「俺を殺しに来たか」

「えぇ、貴方だけは、私の手で殺したかったので」

「そうだろうな」

今自分は笑っているだろう。死の恐怖に苛まれながらも、死を望んでいる。神通に殺されることを望んでいる

「何を笑っているのですか」

「やっと死ねると思うと嬉しくてな、それも神通の手で」

「私の手で殺されるのが嬉しいんですか」

「ああ、他の誰でもない、神通の手で殺されるのが誰に殺されるより嬉しい」

「それで貴方の罪が精算出来るとでも?」

「まさか、そんな訳がないだろう」

そう、今迄の自分の罪は死などでは精算出来ない。償うことすらできない大きな罪。
多くの艦娘を沈めた罪、そして神通をこのようにしてしまった罪。とても償いきれるものではない。

「では、何故私の手で殺されるのが嬉しいのですか」

「神通、お前が俺が唯一愛した相手だからだよ」

「奇遇ですね。私もそうでした」

「過去形、か」

「ええ」

「ならなぜそんなに悲しそうな顔をする」

自分の目の前にいる相手の顔は悲しそうな顔をしている。まるで那珂が沈んだ時のような。

「そんなことはありません」

「いいや、そうだね。俺にはわかるよ」

そう、神通を見てきた俺ならわかる。表情の変化、感情の変化が。

「…貴方に何がわかるんですか。那珂を沈めた貴方に何がわかるんですか!」

「俺も、那珂を沈めたくはなかった」



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